米トランプ政権から「国際協調派」と言われる幹部が次々と去り、最後の砦は国防長官のマティス氏だけという状況になりつつある(写真:UPI/アフロ

 トランプ米大統領が、政権の中核を担っていたティラーソン国務長官を解任した。3月31日に正式に辞任となる。マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)も更迭する方針であることを、複数の米メディアが報じている。

 ティラーソンの後任には、中央情報局(CIA)のポンペオ長官を指名すると発表されている。マクマスターの後任には、保守強硬派のジョン・ボルトン元国連大使らの名前が挙がっている。ポンペオ氏もボルトン氏も、言わずと知れた保守強硬派だ。

 さらに今、トランプ氏はロシア疑惑を捜査するモラー特別検察官に対し、個人名を挙げて批判している。大統領でも特別検察官を直接解任することはできないが、辞めさせるように圧力をかけることは十分に可能だ。まるでニクソン大統領がウォーターゲート事件で特別検察官を解任するように追い込んだ、「土曜日の夜の虐殺」を想起させられる事態である。

 一体、トランプ氏は何を考えているのか。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が韓国の特使団と会談した時、「米国が我が国の安全を保障するならば、核兵器を持ち続ける必要はない」と言った。

 それに対し日本政府は、「金正恩の言うことは全く信用できない」と捉えている。小野寺五典防衛相は「核・ミサイル開発の放棄につながるのか慎重に見定める必要がある」と発言した。

 本コラム「北朝鮮を非難しても問題は解決しない」でも触れたが、2003年に日本、米国、中国、ロシア、韓国、北朝鮮の外交当局の局長級担当者が一堂に会する6カ国協議が開催された。これは北朝鮮に対し、核開発を放棄すれば経済援助をするという話を進めることが目的だった。

 しかし北朝鮮は5カ国を裏切り、2006年に1回目の核実験を実施した。こういった経緯からも、日本政府は金正恩氏に対する不信感を拭えないのである。

 日本政府は、トランプ氏が北朝鮮の提案を飲むわけがないと思っていた。米国のホワイトハウスの幹部たちも、こんな話をトランプ氏が受けるはずがないと考えていた。日本と同じく、米国政府も北朝鮮に対する不信感を抱いているのである。

 しかしトランプ氏は突然、幹部たちに相談もせず、米朝対話に前向きな姿勢を示した。政権幹部も当然混乱した。その中で、ティラーソン氏やマクマスター氏はトランプ氏に反論したのだろう。結局、幹部の解任が相次ぐ形となった。

 トランプ氏は、気に入らない人材をすぐに解任する。彼はかつてテレビ番組の司会をしていた際、「You're Fired!(お前はクビだ!)」という決め台詞で人気を博していたことがある。それと同じ感覚で政治をしているのであれば、大問題だ。

 デモクラシーとは、自分と異なる考えを持つ人をどのように認めるかということだ。政権内にある程度異なる考えを持つ人がいるからこそ、バランスが取れるのである。しかし今、トランプ政権は強硬派に偏りつつある。非常に危険な傾向だと思う。