なぜ、官僚たちは安倍政権に強い不満を持っているのか

 それにしても、なぜこんなことが起きたのだろうか。財務省の官僚たちが、安倍政権のどこに強い不満を持っているのか。具体的なところは、僕にもよく分からない。

 これは仮説だが、第二次安倍内閣になってから、政権が内閣人事局の力を強化して、各省庁の幹部人事を一元的に内閣が掌握するようになったことが影響しているのかもしれない。それに対する官僚たちの不満が高まった可能性がある。

 この内閣人事局のトップは、安倍首相の側近である萩生田光一官房副長官が務めていた。これが物議を醸し出し、現在の局長は政治家ではなく、警察官僚だった杉田和博氏が務めている。

 こういった背景も、今回の問題に関係あるのかもしれない。少なくとも、財務省は安倍政権にダメージを与えようとしていることは間違いない。安倍政権は経産省寄りであることは周知の通りであり、財務省とはあまり関係がいいとは言えないのである。

 安倍首相は、森友学園問題について、「私や妻(昭恵夫人)私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と国会で明言している。次の焦点は、書き換えられた元の文書に、昭恵夫人の存在が記されているかどうかだ。

 朝日新聞は、「事実を調査し、公表すべきだ」と主張している。ところが、麻生財務省は、「財務省として調査するか」との質問に対し、「今の段階では調査することはしない」と答えている。

 3月8日朝の参議院予算委員会理事会で、決裁文書原本のコピーを提出することになった。しかし、コピーは財務省が昨年国会議員に開示した文書と比べると、チェックマーク以外は同じであったという。他の文書が存在するかどうかについて、財務省は「このコピーは今現在、近畿財務局にあるすべて」と明言しなかった。これについて野党は、書き換え問題の解決にはならないと言って強く反発している。

 原本が公表されないということは、よほど問題のある内容が記されていると思わざるを得ない。野党は、朝日新聞に書き換えられる前の文書を公開せよと詰め寄っているが、朝日新聞は守秘義務を貫き、これを拒否している。

 今年9月には、自民党総裁選が控えている。今回の問題によって、自民党内部では、大きな波風が立つ可能性がある。少し前までは、安倍首相の再選が既定路線で、石破茂氏も岸田文雄氏も積極的に戦う姿勢を示していなかったが、ここにきて風向きが変わってきた。

 岸田氏は7日の講演の中で、出馬判断こそ明言しなかったが、総裁選について「政策においても政局においても力を蓄えておくことが大事だ」と強調した。慎重な物言いで知られる岸田氏が「政局」を口にするほど、事態は大きく動き出しているのだ。

 とにもかくにも、安倍首相がこれからどのような対応を取るのか。対応を誤ると、安倍政権のダメージは非常に大きなものとなるだろう。