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 東芝が窮地に陥っている。2015年4月に報じられた不適切会計問題を皮切りに不祥事の発覚が続き、昨年末にはアメリカの原子力事業をめぐる巨額損失が明るみに出た。2月14日には、2016年度の第3四半期決算が発表される予定だった。だが、内部統制の不備を指摘する内部通報を受けて調査をしたところ、さらなる調査が必要だという判断が下されたという。

 東芝といえば、日本のトップ企業の1つだ。その東芝が今、下手をすると倒産するのではないかとまで言われている。きっかけは、2009年から6年間、社長3代にわたって続けられてきた粉飾決済だった。

隠ぺい体質が、問題をどんどん大きくさせた

 問題が露呈したのは、2015年春のことだった。6年にもわたって隠ぺいされていた粉飾決算が明るみに出て、今一度、東芝が全力を挙げて立ち上がろうとしたその時、さらにとんでもないことが判明した。アメリカの原子力事業に伴う約7000億円もの巨額損失だ。

 2006年、東芝はアメリカの原発会社ウエスチングハウスを買収した。これが大きすぎる買い物だった。

 商業用原子炉には主に2つのパターンがある。1つがPWR(加圧水型)、もう1つがBWR(沸騰水型)だ。今、世界ではPWRの方が圧倒的に多い。日本ではPWRを開発しているのは三菱重工で、東芝と日立はBWRだった。アメリカでは、BWRは重電大手ゼネラル・エレクトリック(GE)、PWRはウエスチングハウスが担っていた。

 PWRが得意な三菱重工がウエスチングハウスを買収すべく買収合戦に参戦し、当初は2000億~3000億円の価格で交渉していた。だが、ウエスチングハウスは最終的に、50億ドル(約5800億円)という当初予想の2倍の価格を出した東芝を売却先に選んだ。東芝はPWRとBWRの両方の技術を有することに成功したが、非常に高い買い物となった。

 それから後が問題だった。2008年、ウエスチングハウスはアメリカで4基の原発建設を受注した。実際に建設をするのは、アメリカの大手エンジニアリング会社シカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン・カンパニー(CB&I)の子会社であるCB&Iストーン・アンド・ウエブスター(S&W)だ。

 ところが、これら4基の原発の具体的な建設に入る前に、2011年の東日本大震災で福島第一原発事故が起こってしまう。世界中が原発に対して神経質になり、アメリカでも原発の安全基準が厳しくなった。このため建設費が3~4倍に跳ね上がってしまったのだ。