金正恩体制になってからは、ミサイル発射や核実験の活発化するなど、中国政府の意向に耳を傾けない傾向にある。これに対して中国も黙ってはいない。中国商務省は2月18日、北朝鮮からの石炭輸入を翌日から今年末まで停止する制裁を発表した。

 中国としても、金正恩氏の「暴走」を止めたいのがホンネだ。金正恩氏は、これまでに金正男氏に近いとされた人など200人近く粛清したという。自身の後見人とされ、北朝鮮のナンバー2だった叔父の張成沢・党行政部長も粛清した。

 金正恩氏はストレスの塊だと僕は思う。彼には相談できる相手が誰もいない。彼との距離を縮めると、下手をすれば暗殺される危険性があるのだから、当然だ。正常な精神状態ではないだろう。

 そこで最も危惧すべきことは、金正恩氏が、ストレスの塊からノイローゼになって、正常な判断力を失ったままミサイルを発射してしまう可能性だ。アメリカ政府も日本政府も非常に危機感を強めている。

トランプ大統領は金正恩と話し合うか

 事実、2月12日の午前7時55分、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。これは安倍晋三首相が訪米し、ドナルド・トランプ大統領とゴルフを楽しんで話をしている最中の出来事だったという。安倍・トランプ会談に対する牽制の意味があるのだろう。

 これに対して安倍さんとトランプ大統領が「断固たる措置をとる」と表明したわけだが、「断固たる措置」とは一体何なのか。北朝鮮は、バラク・オバマ政権時代からミサイルや核実験を何度も繰り返していた。ところが、オバマ大統領は北朝鮮に対して様々な表現を使って非難はしたものの、結局のところ強硬な措置はとらなかった。

 トランプ大統領は北朝鮮の扱いをどうするつもりなのか。選択肢は大きく2つある。1つは、強行策をとること。もう1つは、トランプ氏が金正恩・朝鮮労働党委員長と話し合うことだ。

 トランプ氏は大統領就任前には激しく中国を非難し、台湾の蔡英文総統と電話会談をするなどして「1つの中国にこだわらない」というスタンスを示していた。だが、安倍さんの訪米を前に中国の習近平国家主席と電話会談し、「1つの中国」の原則を尊重すると伝えた。

 言動やスタンスがコロコロと変わるトランプ氏が北朝鮮に対してどういう対応するのかを予測するのは難しい。ただ、米国はこれまで北朝鮮との対話の道を閉ざしてきた。それが転換する可能性は否定できない。