マスコミは出口戦略を示さない日銀を批判すべきだ

 今、欧米では金融緩和を縮小する動きが強まっている。米国は2015年12月から利上げを始め、欧州でも金融緩和縮小のタイミングを模索している。

 ただ日本だけ、出口が見えないのである。なぜマスメディアは、出口を探らない日銀を批判しないのか。

 このまま日本だけが異次元緩和を続ければ、国外から問題視される恐れが強い。僕は、日銀はそろそろ出口戦略のシナリオを公表すべきだと思う。日銀の人事が議論されていた時期に、一部の専門家の間では「そろそろ出口戦略を示すのではないか」という指摘があったが、結局、まともな話はほとんど出てこなかった。

 経済界の一部からは「物価目標2%の達成は難しい」と異次元緩和に対して批判の声が出ている。生命保険協会の橋本雅博会長も、日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れについて、「効果、副作用の両面に配慮していただきたい」と注文を付けている。経済界は危機感を抱いているようだが、政界やマスコミには批判をする者がほとんどいない。

 なぜ、マスコミは批判をしないのか。それは、国民からの反発が強いからだと思う。日本では、競争の自由を主張すると、「新自由主義」だという批判が起こるのである。日本人は、自由競争が嫌いなのだと思う。

 「競争の自由」を堂々と主張したのが、小泉内閣の頃の経済財政政策担当大臣を務めた竹中平蔵氏である。当時、彼は世の中から痛烈な批判を浴びた。

 日銀は、今回の総裁人事のタイミングで、異次元緩和の出口を示すべきだったと思う。いつから始めるといった具体的な時期を示さずとも、どのような形で縮小していくのかというシナリオは公表すべきだった。

 しかし、日銀としてはそういう話を出したくないのだろう。だからこそ、副総裁もリフレ派である若田部昌澄氏(早大教授)を充てる案が出されている。これは、「日本はまだまだ異次元緩和を続ける」というメッセージだ。

 日本の財政問題については、軽視する一派もある。経済学者の高橋洋一氏は、「日本は1100兆円の借金を抱えているが、日本国債を保有するほとんどが日本企業、日本人である。日本人が自国を見限ることはないから、財政破綻することはない」という説を唱えている。彼は、「安倍応援団」の一派だと思わざるを得ない。

 この理屈は、とんでもないことだと思う。さらに日本では、量的金融緩和のみならずマイナス金利政策も実施している。これでは銀行が苦しみ、下手をすればやっていけなくなるだろう。昨年11月、メガバンク3行が大規模リストラを発表したが、その引き金になったのもマイナス金利政策である。

 財政問題はすでに解決済みだと話すエコノミストも一部いるが、解決などしていない。1100兆円もの借金を抱えている上、今後もますます増えていくのである。