おそらく、11日付のワシントン・ポストでの発言は、国内外から相当な反発を招いたのだろう。だからペンス副大統領は14日になって、これまでの方針通り、核兵器を廃棄するまでは交渉はしないと改めて言及したのだと思われる。
ただ、ペンス副大統領はアクシオスの取材の中で、「対話」と「交渉」は異なるという主旨の発言もしている。米国が北朝鮮の核廃棄に向けて最大限の圧力をかける方針を北朝鮮に伝える可能性はあるというのだ。つまり両国の政権幹部が直接会って、「対話」することはあり得るということを示唆している。
米韓合同軍事演習の後、北朝鮮はICBMを撃つ可能性がある
日本政府は、文大統領の姿勢に対して非常に不安を抱えている。南北の距離が縮まることを恐れる安倍首相は米韓合同軍事演習はやるべきだと発言している。それについて韓国のメディアは、「これは内政干渉である」と強く批判している。
日本政府の外交筋によると、もし、米韓合同軍事演習をやれば、北朝鮮はまた大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射するのではないかとの憶測が広がっているようだ。
もしもそのようなことがあれば、トランプ大統領が武力行使に踏み切る可能性も捨てきれない。ただ、今、トランプ大統領は、関心の99%が秋の中間選挙である。「冷戦構造の再現を目指すトランプ大統領」でも述べたが、今のところ、上院は勝利するだろうが、下院は相当苦戦を強いられるのではないかと言われている。
もし、中間選挙を前にして、トランプ政権の雲行きが怪しくなれば、その時は武力行使に踏み切るのではないかとの見方が強まっている。
ただし、中間選挙が行われるのは11月だ。それまでは、トランプ大統領は「武力行使」というカードを切ることはない、と僕はみている。直前まで米朝関係を緊迫化させておく方が、選挙では有利になるからだ。
その点を考えると、仮に北朝鮮が米韓合同軍事演習の前後にICBMを撃ったとしても、米国が武力行使をする可能性は低いと考えられる。
平昌冬季五輪閉幕後のポイントは三つだ。米韓合同軍事演習は実施されるのか。文大統領は訪朝を決め、南北首脳会談が実現するのか。トランプ政権は、北朝鮮に歩み寄ることはあるのか。これらの点に注目したい。
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