トランプ大統領が北朝鮮と対話をする可能性はあるのだろうか。日本国内では、さすがに米朝対話の実現は無理だろうとの見方が強い。
では、米朝対話という前提がなければ、文大統領は訪朝しないのだろうか。僕は、それでも訪朝の可能性はあると考えている。文大統領は元々、南北融和を強調しているからだ。米朝対話の見通しがつかずとも、南北会談が行われる可能性は十分にある。
ただ、その前に問題がある。平昌五輪が終わると、米韓合同軍事演習が行われる予定だ。当然だが、北朝鮮はこれに強く反発している。日本の外交筋は、「本当は、文大統領は中止したいと思っているだろうが、米国に徹底的に反発するだけの力も度胸もないだろう」と話す。
では、米韓合同軍事演習が終わった後に、文大統領は訪朝を考えているのだろうか。僕は、その可能性は高いと思う。
そもそも、北朝鮮がこんなにも積極的なほほえみ外交を敢行した思惑は何なのか。僕は、北朝鮮に対する経済制裁が相当効いていて、非常に困っているのではないかと思っている。
北朝鮮側は、韓国に対して経済援助を求めており、文大統領もやぶさかではない。さらに今、日韓関係は溝が深まりつつある。北朝鮮は、その隙を突いて、思い切った外交戦略に出たのではないだろうか。
米国は「対話路線」に傾きつつあるのか
問題は、3月下旬にも予定されている米韓合同軍事演習が実施されるのかどうか、という点だ。日本でも、見方が交錯している中で、一つの大きな問題が起こった。
ペンス副大統領が、韓国からの帰国直後の2月11日付の米紙「ワシントン・ポスト」のインタビューで、「北朝鮮が対話を望むなら米国は対話する」と述べたという。
トランプ大統領は従来、「北朝鮮が核廃棄を決意しない限り、米国は北朝鮮と対話をすることはない」と言い切っていた。こうした経緯があるにも関わらず、ペンス副大統領の発言である。当然のことながら、ペンス氏が勝手に言っているわけではない。やはり、トランプ大統領の考えも含まれていることは間違いないだろう。
では、米国の北朝鮮に対する姿勢は変わったのだろうか。これが今、世界中の注目を集めている。
ペンス副大統領の発言を受け、ティラーソン国務長官に対して記者団から「米国の外交方針は変わったのか」という質問があった。ティラーソン氏は「それを判断するのはまだ早い」と述べた。
昨年12月、ティラーソン氏は「前提条件なしに北朝鮮と対話をする用意がある」と表明し、米国内で大問題になったことがある。トランプ大統領と方針が違うと、強い批判を浴びたのである。当時、ティラーソン氏は更迭の可能性まで囁かれていた。後日、ティラーソン氏は自身の発言を撤回したのである。
この経緯を踏まえた上で、ティラーソン氏の発言はどのように読めばいいのか。
そして14日、米ニュースサイト「アクシオス」のインタビュー中で、ペンス副大統領は発言を変えた。「核・ミサイル開発を断念するまで米国の対北朝鮮政策に変更はない」と強調したのだ。
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