先に韓国に行く理由は、北朝鮮問題に“釘を刺す”ためだろう。韓国では、朴槿恵大統領の弾劾裁判が決まり、この夏にも大統領選挙が行われると言われている。今の情勢では、野党候補が大統領になる可能性が高い。

 朴槿恵政権は、反日親中だった。ところが昨年、在韓米軍へ「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を配備すると米韓が共同声明を発表した時、中国が強く反発した。反日路線は続き、かつ中国との関係が悪化したままとなると、韓国は八方ふさがりの状態が続く。

 ここでもし、韓国で野党の候補者が大統領になり、北朝鮮に対して融和路線へと転換すれば、THAADの配備を破棄する可能性がある。アメリカはそれを心配して、「THAAD配備を覆すな」と念を押すために先に韓国を訪問するのだろう。

日本もアメリカも「保護主義」ではやっていけない

 安倍・トランプ会談の大きなテーマは、国防費と貿易均衡の問題になる。特に、アメリカは環太平洋経済連携協定(TPP)に参加しない意向を示しているから、日本に2国間貿易協定の交渉(FTA)を持ちかけるだろう。これは、日本にとって相当妥協を強いられる厳しい交渉になると思う。

 現に米韓でFTAの交渉をやった時、韓国は相当不利な条件を飲まされた。日本にも同じような交渉をしてくる可能性がある。

 日本としてどうしていくのか。アメリカに対して何を求めるのか。安倍さんは10日の会談でトランプ氏にきちんと打ち出さなければならない。

 もし、僕が安倍さんの立場であれば、トランプ氏の進めている政策がアメリカにとってプラスにならなないことを指摘する。アメリカは、確かに自動車などの第二次産業においては輸入が多いが、金融やソフトウエアなどは大輸出国だ。アメリカはむしろ、グローバリズムの中で繁栄している国なのだ。そういった矛盾を示した上で、日米貿易の交渉をすべきだと思う。

 日本もグローバリズムの中で成長していく国だ。トランプ氏は「アメリカ人は、アメリカで作ったものを買い、雇用を増やしていく」という完全な保護政策を進めようとしているが、これでは日本経済は非常に厳しい状況に陥るだろう。

 安倍さんがトランプ氏との会談でどこまでがんばれるか。ゴルフを一緒に回って親密ぶりをアピールしたとしても、それは世界では全く評価はされない。交渉相手として信頼されるためには、自らの意見をきちんと社会に伝える必要がある。国の代表として、毅然とした態度で日本の意見を主張してほしい。