安倍・トランプ会談では、防衛費増額を要求される

 今、日米間には様々な問題が横たわっている。

 例えば、トヨタ自動車がメキシコに新工場の建設を進めていることに対して、トランプ大統領は強く反発し、「アメリカに建てろ」と言った。

 あるいは、トランプ大統領は日米自動車貿易について「公正ではない」と批判している。しかし、前回書いた通り、実際には米国からのクルマの輸入に関税はかかっておらず、日本からの輸出には2.5%の関税がかかっている。公正でないとするならば、それは米国有利の不公正だ。

 こんな問題もある。2月2日から、ジェームズ・マティス国防長官が韓国と日本を訪問する。3日には安倍首相を表敬し、稲田朋美防衛大臣と会談する予定だ。

 トランプ大統領は選挙の時に、「在日米軍の駐留費用を日本は全額負担すべきだ。しないのであれば、在日米軍は日本から撤退する」と主張していた。しかし、日本は在日米軍にかかる費用の75%を負担している。これは韓国の40%やドイツの30%と比べたら、格段に多い。そういうこともあり、マティス国防長官は日本に対して、「防衛費の増額を要求するのではないか」という声が関係者の間から漏れ聞こえてくる。

 先日、トランプ大統領はイギリスのメイ首相との会談で、北大西洋条約機構(NATO)の重要性を強調していた。NATOが加盟国に求める防衛費負担の目標値は、国内総生産(GDP)比2%だ。しかし、このノルマを果たしているのは、米国を除くと英国やポーランドなど4カ国しかない。トランプ氏はこの点を指摘し、「少なすぎる。同盟国はもっと負担すべきだ」と主張している。

 一方、日本の防衛費はGDP比で約1%だ。おそらく3日の会談では、マティス氏はその部分を指摘し、「もっと増やせ」と要求してくるのではないだろうか。

 防衛関係者が懸念しているのは、防衛費の増額を求められるだけでなく、その増加分でアメリカの兵器を買えと言ってくるのではないか、ということだ。

 安倍・トランプ会談の前に、マティス国防長官の訪問があることは、アメリカの1つの戦略だろう。マティス氏は稲田防衛大臣との会談で、日本に対して国防費の増強などの要求をする。その上で後日、安倍首相がトランプ氏との会談に向かう。すると安倍首相は、何かしらの答えを持っていかねばならない。

 そういったアメリカの要求に対して、安倍首相はきちんと対応出来るのか。僕はいささか心配だ。

マティス国防長官が先に韓国を訪問するのは「THAAD」配備に釘を刺すため

 一方で、安倍さん自身が元々防衛費を増やしたいと考えているのではないか、という見方もある。

 そもそも保守派の多くは、日本が中国や北朝鮮への対応で防衛費を増やすべきだという考え方を持っている。安倍さんも例外ではない。しかし、自民党が「防衛費を増やしたい」と言えば、野党や国民から反対の声が上がるのは目に見えている。

 そこで、アメリカから「防衛費を増やせ」と言われれば、これ幸いと主張することができる。こういった思惑も、安倍さんにあるのかもしれない。

 もう1つ、今回、マティス国防長官が日本より先に韓国を訪問する点にも注目したい。

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