今、欧米でポピュリズム(大衆迎合主義)の大嵐が吹き荒れている。主要各国において、ポピュリズム政党が急速に勢いを増しているのだ。

 例えば、欧州各国では、2000年代以降、反既存政党への支持率が伸びている。フランスやドイツでは10年ほど前まで、下院選挙での反既存政党の得票率はいずれも10%前後だったが、17年にはフランスでは26%、ドイツでも22%と、いずれも2倍以上の水準に跳ね上がっているという。

世界中に広がるポピュリズムにどう対処していくか、一部を除き各国首脳の苦悩は続く(写真=代表撮影/ロイター/アフロ)

 昨年の仏大統領選挙でも、極右政党である国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が支持を伸ばした。オランダでも、自由党のウィルダース党首の支持が伸びている。

 オーストリアでは、ついに極右の自由党が連立政権に入ったという。欧州で最も経済が安定しているドイツのメルケル政権までもが、今、少数勢力になってしまった。

 今年3月に下院選挙が行われるイタリアでは、ポピュリズム政党である五つ星運動が躍進し、第一党になる可能性が出てきた。党首のディ・マイオ氏は自信満々で「我々はすでに勝った」と発言している。

 何よりも、ポピュリズムの典型が米国のトランプ大統領だ。2016年11月の大統領選挙では、マスメディアは揃って民主党のヒラリー・クリントン氏が当選すると断定的に報じていた。しかし、最終的に勝利したのは、共和党の泡沫候補であったトランプ氏である。

 なぜ、ポピュリズムが欧米を襲っているのか。

 一つは、景気自体は悪くないのだが、賃金の伸びが鈍く、若年層や中・低所得者層の生活が苦しくなっていることだ。国民の現状に対する不満が強まっているのである。

 特に米国では、その傾向が顕著だ。グローバリズムによってヒト・モノ・カネが国境を越えることで、給与水準の高い米国では、多くの企業が工場をメキシコや中国などに移してしまった。その結果、米国の中西部にある旧工業地帯(ラストベルト)が廃墟と化してしまったのである。

 すると米国内の雇用が悪化し、特に白人労働者たちの生活が苦しくなった。格差が広がり、エスタブリッシュメントに対する不満が高まった。彼らの不満をくみ取り、支持を集め、当選を果たしたのがトランプ大統領である。