僕が三井住友銀行のトップに取材したところ、「これからの銀行は、総合サービス産業になる」と話していた。コンサルタントのように新しいビジネスを提案して、それに必要な融資をするビジネスプロデュース業をやるということだ。

 どの経営者たちも「想像以上に世の中の変化のスピードが速い」と口を揃える。トヨタの豊田章男社長は、大規模人事異動の発表時に「自動車業界は100年に一度の大変革の時代に入った。『勝つか負けるか』ではなく、まさに『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている」と話していたが、家電メーカーも自動車メーカーも銀行も、まさに今、生き残りを賭けた改革に着手しているのである。

日本企業に勝機はあるのか

 トップランナーになるためにはどうすればいいのか。勝機がないわけではない。これについて、トヨタの研究所トップは次のように話した。

 「世界の時価総額トップを占めているアップル、アルファベット(グーグルの持ち株会社)、マイクロソフト、アマゾンなどの米国企業が持っているのは、ほとんどがソフトウエアだ。しかし、トヨタはソフトのみならずハードもある。両面の強さがあれば、彼らを抜くことは不可能ではないだろう」

 彼はこう続けた。「抽象論になるが、ソフトの発想でハードを進化させるということだ。米国企業は、ソフトの発想でソフトを進化させているだけだが、当社にはハードがある。ソフトの発想でハードを進化させれば、勝機はある」。

 トヨタは自社の自動車が走行する距離が世界で最も長いことから、ディープラーニング(深層学習)につながる技術の開発において非常に有利だと言える。

 すでにグーグルもアマゾンも、ハード開発に着手している。ここで日本企業が遅れをとってしまっては、彼らに追いつくことはできない。自社の強みを見極め、いち早く生かせるように柔軟な組織体制を作ることが肝要だ。

 「二番手」には甘んじていられなくなった時代に、どのようにして生き抜いていくのか。どの業界も正念場を迎えている。