韓国経済は、中国の巨大なマーケットがなければ成長を維持することができない。だから、韓国は対中関係を悪化させるわけにはいかないのだ。中国寄りになった理由は、こういった事情もあるのではないかと言われている。

 となると、北朝鮮に対抗する日米韓の強固な関係はどうなってしまうのか。日本政府の内部では、下手をすれば、韓国、中国、米国、北朝鮮の4カ国によって北朝鮮問題を議論していくのではないかという懸念が広がっている。

 日本は自国の存在感を示すために、どのように動けばいいのか。今、日本政府の最大の問題はここにある。

米国の武力行使は、秋の中間選挙の勝率次第だ

 もう一つの問題は、米国が本当に北朝鮮への武力行使をするのかという点である。ここについては、年始から潮目が変わりつつあると思う。カギとなるのは、今年11月に控える中間選挙だ。

 5日、トランプ氏の最側近であったスティーブ・バノン前主席戦略官が、トランプ政権の内幕を暴露した書籍『炎と怒り』(マイケル・ウォルフ著)の中で、トランプ氏の息子などが取った行動を「売国的行為」などと非難していたことが明らかになった。

 バノン氏は役職を解かれた後も、ずっとトランプ氏と連絡を取り合ってきたとされる人物である。当然だが、トランプ氏はバノン氏の書籍について強い怒りを込めて批判をしている。なぜ、バノン氏はトランプ氏と決裂しかねない行動に出たのか(その後、バノン氏は書籍の内容について弁解してトランプ氏との関係を修復しようとしている)。

 バノン氏は、共和党の右派である。これは主流派ではなく、反主流派だ。12月12日に行われたアラバマ州の上院補欠選挙では、共和党は主流派と反主流派の候補者が出馬し、バノン氏は反主流派を応援した。トランプ氏も、バノン氏に倣って反主流派を支持した。

 反主流派とは、言わば白人至上主義、排外主義、イスラエル絶対擁護派である。バノン氏はこの選挙で反主流派を勝たせるため、トランプ氏に、エルサレムをイスラエルの首都と承認するよう求めた。だからトランプ氏は、突然12月6日に「イスラエル首都宣言」をしたのである。

 ところが、共和党はこの選挙で民主党に負けてしまった。アラバマ州は伝統的に共和党への支持が強い地域だが、それでも共和党は敗北した。

 しかも、トランプ氏が応援していた反主流派の候補者が負けてしまったのである。これによって、トランプ氏の政権運営はかなり行き詰まるのではないかとの憶測が広まった。

 共和党は、秋の中間選挙でも勝てないのではないか。しかし、トランプ氏は何もせずして負けるわけにはいかないから、中間選挙の前に北朝鮮に武力行使をする可能性がある。これが、昨年末までの大方の予測だった。

 そういった中で、年始にトランプ氏とバノン氏との対立が表立ったのである。なぜこんなことが起きたかと言えば、秋の中間選挙で勝つために、トランプ氏がバノン氏を切ったからだ。共和党が勝利するためには、主流派と反主流派との協力が必要である。そこでトランプ氏は、反主流派のバノン氏を退けたのである。

 もう一つ、潮目が変わったと感じるのは、米国景気の著しい回復である。そもそもトランプ氏が大統領選挙で当選したのは、グローバリズムによって中西部の工業地帯が廃墟になり、白人労働者たちの失業率が高まったことが背景にある。

 それが、トランプ氏が大統領に就任した17年1月以降、失業率は4.7%(2月)から4.1%(12月)まで減少した。12月下旬には、公約に掲げていた巨額減税の実現が確実になった。

 となると、今度は共和党が中間選挙に勝利する可能性は高いのではないかとの見方が強まってきたのだ。中間選挙に勝てるならば、トランプ氏は北朝鮮に武力行使をする必要はない。

 米国が北朝鮮に武力行使をすれば、日本や韓国に多大な被害が出るというリスクがある。トランプ氏は、できることなら武力行使などしたくないと考えているはずだ。