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仕事の大部分がAIに代替されたとき、人は何をすべきか

 AI研究者の中で最も大きな問題は、その時に人間はどうすればいいのか、である。例えば、仕事がなくなり、やるべきことが全くなくなってしまうことも考えられる。あるいは、ビッグデータ中心主義となり、あらゆる仕事や判断がAIによって代替され、人間の存在理由がなくなってしまうのではないかとの意見まで出ているという。

 人間のみが持つ能力とは何か。創造力、意志決定の力である。しかし、これもAIが獲得するのではないかとの見方まである。創造力とは、体験から得た知識の重なりによって構築されてゆく。これもAIによって実現される可能性があるという。

 このままAIが発達していくと、ホワイトカラーの仕事はほとんどなくなるだろうといわれる。例えば、10年後の銀行は、現在の80%の人材が不要になるという。他の業種でも、必要な労働力が大幅に削減されるだろう。

 このような時代になったら、どうすればいいのか。筑波大学の落合陽一准教授は、「皆、仕事をつくることができるようにならなければダメだ」と主張する。これまでの仕事は、会社から与えられるものだった。しかし、これからは仕事を自らつくっていかなければならない。それはまさに創造力であり、芸術に近いものではないか、と言うのである。

 このような時代になると、教育のあり方も変えていかなければならない。従来の教育は、教師が正解のある問題を出し、生徒はそれに答える勉強をしてきた。ところが、正解のある問題はすべてAIが解答を導き出してしまう。

 従って、新しい時代に向けて、人間の創造力を拡大するような教育に変えていかなければならない。落合氏は、「大学入試の手法も変えるべきだ」と主張している。現在の大学入試は正解のある問題が出題されるが、これからの時代に必要な能力ではない。

 ただ、実現は簡単ではないだろう。創造力のある人間をどうやって選べばよいのか。例えば論文という形式も一つの策ではあるが、それを評価する人材がいないという問題もある。

 このように、シンギュラリティの時代に向けて、教育のあり方を含め、様々な問題が横たわっているのである。