nikkeiBPnetの人気コラム「田原総一朗の政財界『ここだけの話』」は2017年1月から、日経ビジネスオンラインで掲載することになりました。これからもよろしくお願いします。過去の記事はこちらからご覧ください。

 1月4日付の朝日新聞朝刊に「経済成長は永遠なのか『この200年、むしろ例外』」 という記事があった。この20年間、ゼロ成長であっても、僕たちの豊かさは変わっていないではないか、という内容だ。

 その中で、経済学者で社会思想家の佐伯啓思・京都大名誉教授は次のように述べている。

 国家が成長を必要としたのはもともと冷戦期に資本主義陣営が社会主義陣営に勝つためだった。「それだけのことにすぎない。なぜ成長が必要なのかという根源的な問いに、経済理論には実は答えがないのです」

 また、経済史専門の猪木武徳・大阪大名誉教授は、こう述べている。

 成長を謳歌したこの200年間を「経済史のなかではむしろ例外的な時期」と言う。そのうえで無理やり成長率を引き上げようとする最近の政策に異を唱える。「低成長を受け入れる成熟こそ、いまの私たちに求められているのではないでしょうか」

成長がなければ、企業は生き残れない

 僕は、違うと思う。成長しない企業は、この社会では成立しないからだ。かつての高度成長とまではいかなくとも、成長は必要だ。そのためには、いかに経営者がチャレンジ精神を持ち、新しいものを作っていくという意識が大事だと思う。だが、今の経営者がどれだけこの意識を持っているだろうか。

 ここに、「失われた20年」の原因があるように感じる。言葉の通り、日本はこの20年間、経済成長が停滞している。原因は何か。日本企業の経営者がチャレンジ精神を失ったことにあると考える。

 僕はかつて、松下電器産業(現・パナソニック)の松下幸之助氏やソニーの盛田昭夫氏、ホンダの本田宗一郎氏などの創業者を取材してきたが、皆、「世の中にないものをつくろう」という気持ちにあふれていた。いわばチャレンジ精神の塊だったのだ。