株主といっても、「今日、株を買って、明日には売って儲けよう」という短期志向の株主と、会社とともに「一緒に歩む」という姿勢の中長期保有の株主とでは、大きな違いがあります。ですから、昨今「株主平等の原則」がしきりに叫ばれていますが、実は私は決して正しいことではないと思っているのです。

安定株主など存在しない

 果たして株主の意向はどれだけ経営に反映されるべきなのでしょうか。

 上場企業のオリックスの場合は、特定の大株主はいませんので、100パーセントが浮動株という状況です。そのうち約60パーセントが外国人投資家です。株主構造が行きつくところまで行ってしまったという実感があります。一般に株式市場では短期志向の株主が非常に増えています。企業価値というより株価を見て、割安と思えば買い、株価が上がれば売ってしまう。企業経営は中長期の成長を目標に行っていますから、経営者からみると、“安定株主”が全くいない状態ともいえるわけです。

 オリックスは、日本企業の中でも、いち早くIR(株主対話)を取り入れて、投資家との対話には力を入れてきました。

 私自身も海外での投資家説明会で数多くの株主に自らの言葉で語ってきました。年金基金や投資信託などの外国人投資家が株を買ってくれた時は、「多くの外国人が当社を理解してくれている」と誇らしく思ったものです。しかし、その結果が100パーセント浮動株の状態となると、本当に事業を分かっていてくれたのかどうかと、時に疑問が沸いてきます。本当に事業や成長性を理解してくれる株主に投資してもらいたいと志向してきて、行き着いてみたら、居心地が悪い。それが今の実感です。

 外国には長期運用の年金基金や、大型投資信託など長い目で運用してくれそうな株主が多くいるように思っていましたが、実際はそうではない。また、その他にも短期間で多くの儲けを狙うヘッジファンドや、回転売買ばかりするトレーダーなど株価で動く投資家もいます。ファンドマネジャーの報酬も半年に1回という短期間で評価されますから、どうしても短期間で稼いで、年俸やボーナスを上げたいと考えてしまうものです。機関投資家はそのほうが自社の利益が増えるので、評価制度を変えようとはなかなかしません。