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顧客の決済データの囲い込み図る

 フーマーとほぼ同じ業態で店舗展開するのが、テンセントが筆頭株主となっている京東集団が運営する「7 FRESH」だ。北京では2店舗展開している。「7 FRESH亦庄大族広場店」に行ってみたが、天井のレールや商品をピックアップする店員などは、フーマーとそっくりだった。

 大きな違いは決済手段で、アリババが運営するフーマーではテンセントのウィーチャットペイでの支払いはできない。一方、テンセント系の7 FRESHではアリババのアリペイは使えない。ともに顧客の決済データの囲い込みに余念がない。

 テンセントは7 FRESH以外に、「超級物種」を運営する永輝超市にも投資しており、生鮮電子商取引(EC)においても、アリババとテンセントで激しいシェア争いをおこなっている。

 電子商務研究中心が発表した『2017年度中国インターネット小売市場データモニタリング報告』によると、中国の生鮮EC市場は毎年50%以上のペースで成長。14年の40.5億元(約650億円)から17年には1402.8億元(約2兆2445億円)にまで拡大した。一方で、「過剰競争に加え物流やサプライチェーンに対する要求も高く、オペレーション及び倉庫・配送コストが極めて高い」ため、現時点では利益は出ていないようだ。

 最先端技術を駆使した次世代スーパーに見えるが、フーマーの例を見てもわかるように商品の陳列、ピックアップ、梱包、調理、配送などほとんどのオペレーションが「人」によって行われる。見に行ったフーマー楽成店では、売り場やバックヤード、宅配でかなりのワーカーを投入していた。

 つまり現時点では、シェア自転車やデリバリーサービスといった他のニュービジネス同様、「安価で豊富な労働力」を前提に設計された「労働集約型」のビジネスモデルとなっている。(「シェア自転車はこのままでは日本で普及せず 」を参照)

バックヤードには多くのワーカーを投入

 大都市の人口抑制策に伴う農民工(出稼ぎ労働者)の減少に加え、他のニュービジネスとの農民工争奪戦により、都市部におけるブルーカラー労働市場はさらにタイトになり人件費は高まっていくと予想される。

 フーマーをはじめとする生鮮ECが「次世代」へと進化するためには、業務の省人化や無人化が次の課題となってくるだろう。