大手金融機関の面接を待つ学生たち(2017年11月、北京市内)
大手金融機関の面接を待つ学生たち(2017年11月、北京市内)

ホワイトカラーとブルーカラーの給料は?

 産業構造を見てみると、経済発展の過渡期にある中国社会では、エリート意識を持つ大卒者よりも、依然として大量のワーカーを必要としている。

 若干古いデータとなるが、人力資源社会保障部の2013年の統計を使って学歴別の求人倍率を計算すると、「大学専科(大専)」を含む大卒・院卒が0.84倍であったのに対し、学歴要求なしを含む小学・中学・高校卒は1.17倍であった。2002年以降このような状況が続いている。

 中国のブルーカラー市場とホワイトカラー市場は分断されている。中国では「大卒=ホワイトカラー」という意識が依然として強く、「メンツ」を重んじるあまり肉体労働を敬遠する傾向にあるためだ。

 労働市場のこのような分断と不均衡は賃金にも表れている。『2017年中国大学生就業報告』によると、2016年大学生の卒業半年後の月収は全国平均で4376元(約75000円)となっている。これは「211大学(21世紀の優秀100大学)」や「985大学(1998年5月に選出された重点研究大学)」と呼ばれる国家指定の重点大学の卒業生も含む平均収入で、名前も知られていないような三流大卒の現実はさらにひどい。

大卒「蟻族」の月収は出稼ぎ労働者より低い

 対外経済貿易大学の廉思教授が2009年に発表した「蟻族」と呼ばれる社会現象が話題となった。これは、地方出身の大卒者が思うような就職ができず、大都市近郊で集団生活を送る現象。社会保障も無い非正規雇用の形態が大半で、賃金も極めて低いと言われる。

 「蟻族」の所得に関する公式な統計はないが、平均月収は首都北京ですら2000~3000元程度とメディアでは報じられている。中国農業部が発表した2017年第1~3四半期の農業農村経済報告によると、「農民工」と呼ばれる農村からの出稼ぎ労働者の平均月収は3459元であった。大卒「蟻族」はこのレベル以下ということになる。

 さらに高収入の出稼ぎ労働者もいる。最近都市部ではフードデリバリーサービスが活況を呈しているが、中国中央テレビが運営する「央視網(CCTV.com)」で公開されている報道番組によると、配送員の月収は最低でも五、六千元で、人によっては一万元を超えるケースもあるという。ネット通販も好調で宅配業者間で人材確保競争も激しく、賃金は右肩上がりとなっている。

 ブルーカラー市場にもこのような高収入の職業があるが、大卒者はほとんどいない。

次ページ まだまだ続く「卒業=失業」