
国慶節を終えた直後の10月中旬、対外経済貿易大学の教え子のSNS上に悲痛なつぶやきが流れた。
「倍率は50倍だって!」。
大手国有商業銀行の某地方支店の応募状況だ。彼女のSNSはほどなく、同じく就活真最中の同級生たちからのコメントで埋め尽くされた。
中国では今、秋季の就職活動が佳境を迎えている。新学期が9月から始まる中国では、就職活動は秋季と春節を挟んだ翌年の春季の二度のピークがある。それぞれ10月と2月頃から始まり、3か月ほど続く。
日本の新卒採用状況をみると、人手不足や企業の好業績を背景に空前の「売り手市場」が続いている。一方中国では、年7%近い経済成長を続けており、2012年から生産年齢人口が減少に転じ、都市部の年間新規就業者が1300万人を超えているため、学生優位の「売り手市場」となっていると思われがちだが、中国の就活状況はまったく異なる。
就職超氷河期の現実
学歴を極めて重視する中国において、現代版科挙とも言える中国の全国大学統一入試、通称「高考」は人生最大のイベントと言っても過言ではない。その熾烈な競争を勝ち抜いてきた学生たちを4年後に待っているのは「就職超氷河期」という現実である。
中国では1998年に高等教育規模拡大政策が実施され、大学の定員数は右肩上がりに増加してきた。教育部の統計によると、98年に約87.7万人(大学生83万人、院生4.7万人)だった卒業生は、2016年には760万人(大学生704万人、院生56万人)まで増加している。中国国内の報道によると、2017年に卒業生は795万人、2018年には800万人を超える見込みである。
学内でも「史上最悪の就職難」という言葉をよく耳にするが、毎年「史上最悪」を更新している状況だ。
卒業生が急増する一方で、その受け皿となる企業の増加スピードは追いついていない。
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