前述の「要綱」の目標に「信用情報リソースの共有を基礎とする社会全体の信用調査システムを構築する」と明記してある。また、「要綱」の本文中でも「交換」、「共有」という言葉が数多く出てくる。

 一方、民間企業は自社のサービスで囲い込んだユーザーから得た様々な情報をベースに独自のビジネスモデルを構築し発展を遂げてきた。このデータエコノミーの時代において、顧客の信用データは自社の発展に欠かせない極めて重要な資産といえ、簡単に第三者に渡すわけにはいかない。つまり、民間企業による信用情報の囲い込みは、中国政府が目指す「共有」と相反する。このような中、信用調査機関間の「スーパーハブ」となる信聯が誕生したのである。

民間のノウハウと情報を集約する可能性

 バイハンクレジットは中国インターネット金融協会が36%の株式を保有し筆頭株主となっているが、残りの64%の株式は試行企業8社がそれぞれ8%ずつ保有している。つまり、中国政府系の中国インターネット金融協会を中心に、3年間テストを行ってきた8社が集結した構図となっている。

 バイハンクレジットは今年深センで登記を済ませ、10月にシステムの雛形が完成し試運転を開始したばかり。具体的な業務などの全容は依然として不明なままである。実際に、最初のテストケースとして選ばれた企業は、消費者金融、自動車ローン、一部の民営銀行といった小規模の範囲にとどまっている。

 しかし、その方向性は監督を担う人民銀行の高官が明らかにしている。

 5月26日に開催された「第14回中国信用4.16ハイレベルフォーラム」上において、万存知・中国人民銀行征信管理局長は、「事前に個人調査業務を準備してきた8社は、今後単独で信用調査業務に従事することはなく、それらの信用調査機能の一部は切り離されバイハンクレジットに整理統合される。その他の業務はデータサービス業として存続していくこととなる」と述べた。

 つまり、8社の民間企業がこれまで3年かけて積み上げてきた信用調査業務のノウハウや個人情報、今後アリババやテンセントなどのサービスを利用した際に残る個人情報などもすべてバイハンクレジットに集約される可能性が出てきた。信聯の誕生により、個人の信用情報もすべて一部の企業や政府機関で「共有」する時代が到来するかもしれない。