「信用」は現代経済の基礎を担っており、市場経済はまさしく信用経済である。中国政府は「社会全体を網羅する信用システムが未熟」と存在する問題を認識し、国家を挙げて社会信用システムの構築に取り組んでいる。

芝麻信用の画面。筆者の信用スコアは687点で「信用優秀」にランクされている。

 現在、中国政府による社会信用システムの構築は、2014年6月27日に国務院より発表された「社会信用システム建設計画要綱(2014-2020年)」(以下「要綱」)に則って推し進められている。

 「要綱」によると、「2020年までに、社会信用に関する基礎的法律法規および基準体系を整備し、信用情報リソースの共有を基礎とする社会全体の信用調査システムの基礎を構築する。監督管理体制、信用サービス市場の健全化をはかり、違約時の懲罰や遵守時の奨励策を全面的に機能させる」ことを目標としており、重点分野として「政務」、「商務」、「社会」、「司法」が挙げられている。

 中国における社会信用システムの構築は、中央銀行である中国人民銀行が中心となって進められてきた。03年11月に「信用貸付業の管理、社会信用システムの構築推進」を職責とする「中国人民銀行征信管理局」が発足。その後、企業及び個人の信用情報基礎データベースの運用を開始した。13年3月に「征信業管理条例」が施行され、中国人民銀行が信用調査機関に対する監督管理の職責を負うこととなった。

 「要綱」が発表された14年6月、企業の信用調査を業務とする26の機関が、人民銀行から「第三者企業信用調査許可証」を初めて取得した。しかし、個人の信用調査業務の開放に対しては慎重な態度をとっており、まずは試験的に実施することとなった。

 15年1月、人民銀行は『個人信用調査業務の準備作業に関する通知』を発表、「芝麻信用管理有限公司」、「騰訊征信有限公司」、「鵬元征信有限公司」、「中誠信征信有限公司」、「中智誠征信有限公司」「北京華道征信有限公司」など8社に対し、個人の信用調査業務の準備を始めるよう求めた。

 その後、各社とも独自の信用調査業務を展開。中でも、アリババグループ傘下の金融サービス会社アント・フィナンシャルの「芝麻(ゴマ)信用」は、すでに中国人にとって身近なサービスとしてよく使われるようになっている。