「結婚前の住宅購入」は都市部の大卒者の共通認識

 一方で、08年ごろ「裸婚」という新語がネット上で流行しはじめ、11年には「裸婚時代」というドラマが一世を風靡した。「裸婚」とは「家や車、指輪、お金など何もない状況で、披露宴も挙げず登録するだけの簡素な結婚」を指す。

 「裸婚」に関する公式統計はないため、現在もこの傾向が続いているのか学生にアンケートを取ってみると、殆どの女子学生が「『裸婚』はあり得ない。結婚前の住宅購入が必要」との回答であった。中には、「家が買えないから結婚しない」という男子学生までいた。「結婚前の住宅購入」は、少なくとも北京など都市部の大卒者の共通認識となっているようである。

 それでは人口構造の変化は不動産市場にどのようなインパクトを与えるのであろうか。

 

 中国国家統計局の2016年のデータによると、平均住宅購入年齢に近い25~29歳の人口は過去十数年増加傾向にあった。しかし、今後はこの世代の人口が減少に転じる。2016年時点における25~29歳の人口を100とすると、次の5年(グラフの20~24歳人口)で74.2、その次の5年(グラフの15~19歳人口)では57.7まで低下する。これは今後5年~10年以内に中国国内の住宅需要が低下していくことを示唆している。

中国の人口ピラミッド(16年)
(注)小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100.0とはならない。中国国家統計局のデータより筆者作成

 一方、北京のある商業銀行で住宅ローンを担当している私の元教え子に現状を聞くと、「北京における現役世代の住宅に対する実需は極めて強い。現在は国の引き締め策により現実的に買えない人が一定層存在するため、価格が下がればすぐに買いが入る」という。

 つまり、住宅購入人口の減少の不動産価格へのインパクトは、北京や上海など一線級都市に対しては限定的とみられる。しかし、若者人口の流出が顕著な地方都市を中心に不動産価格の調整がおこる可能性は否定できない。

 一般的に生活コストが高く子育て環境が悪い大都市の出生率は低くなる傾向にある。実際日本でもそうだ。厚生労働省が6月1日に発表した17年の人口動態統計によると、合計特殊出生率は大都市の方が低下傾向にある。中でも東京は17年から0.03ポイント低い1.21と、全国平均の1.43を大きく下回り、都道府県別で最低であった。