団地敷地内の広場に突如設置された無人ジムボックス

 9月16日朝7時半、天安門広場に集まった3万人のランナーが42.195㎞先のゴールを目指して一斉にスタートを切った。1981年の第一回から今年で37年目を迎える北京マラソンは、中国国内で最も歴史あるマラソン大会だ。毛沢東の肖像画が掲げてある天安門から北京国家体育場(通称「鳥の巣」)まで、北京市内の西側を半周する。

 2年前からマラソンを始めた私も、北京マラソンに参加するのは今年で3度目。今回のタイムは3時間44分43秒と、2年連続で自己記録を更新することができた。年齢に逆行するように体力の向上を感じることができるのはこの上ない悦びだ。北京マラソンで多く見かけた中高年ランナーも同じ思いで走っていたに違いない。

 近年、中国ではマラソンブームが起こっており、競技人口はうなぎ上りだ。北京マラソン主催者の発表では、今回の申し込み人数は昨年比13.3%増となる11万1793人に達したという。

 中国英字紙チャイナ・デイリーが中国陸上協会の発表を引用した記事によると、マラソン(ハーフや更に短い距離も含む)のレース数および参加人数は、2014年ではそれぞれ51大会、90万人だったが、17年には1102大会、500万人となり、さらに20年までに1900大会、1000万人の規模にまで拡大すると見込まれている。

「太る」ことに対する意識が変化

 マラソンブームの背景には、国民の健康意識の高まりがある。中国語には「発福」という単語がある。これは「太る」の婉曲的表現だが、留学中に中国語の先生から「現在肥満は歓迎されることではありませんが、以前食べるものがあまりない時代、『太る』ことは裕福で幸せの象徴だったのです」と教わった。時代が変わり比較的裕福な中国人が増え、「太る」ことに対する意識が変わってきたのであろう。

 また、中国政府による促進政策も大きい。16年5月に国務院が発表した「全民健身計画(16~20)」では、20年までに週一回以上の運動する人を7億人に、日常的に運動する人を4.35憶人まで高める目標を掲げている。また、同年10月に発表された「『健康中国2030』計画概要」では、健康サービス業の規模を20年までに8兆元(約130兆円)に、30年までにその倍の16兆元まで拡大することが示されている。

 国民の健康意識の高まり、政府による後押しを受け、健康関連ビジネスは拡大傾向にある。その典型的な例がフィットネスジムだ。