「中国サッカー改革領導小組」が発足

 一筋の光明が見え始めた中国サッカーに対し、大のサッカーファンで知られる習近平国家主席が改革に乗り出した。

 習主席がトップを務め、中国のあらゆる改革の司令塔に位置づけられている「中央全面深化改革領導小組」。15年2月27日に開催された第十回会議で「中国サッカー改革発展全体プラン」が可決され、同年4月にはプランを実行する「中国サッカー改革領導小組」が発足した。

中国移動主催のサッカー大会に参加した対外経済貿易大学教員サッカーチーム

 1998年以降6大会連続でW杯に出場し、今大会でもアジア勢で唯一決勝トーナメント進出を果たした日本代表は中国サッカー改革のお手本となっており、50項目にも及ぶ同プランにもそれが色濃く反映されている。

 日本では小学校から社会人にいたるまでサッカー大会が開催され、草の根レベルにまでサッカーが普及しているが、中国ではサッカー人口の不足が長年指摘されてきた。「現代版科挙」と呼ばれる厳しい受験戦争を強いられる中国では、「お勉強」以外の課外活動が悪とされる雰囲気があり、「小さいころ校庭でスポーツすると怒られた」という今の大学生たちも少なくない。

 同プランには「学校サッカーの普及」、「社会人サッカーの発展」が明記してある。具体的には、日常的にサッカーをする小中学生を3000万人、全社会のサッカー人口も5000万人超を目指す。「校庭サッカー特色学校」を2万校作る計画は、17年に前倒しで達成した。

 国家の政策に呼応する形で、一般社会でも新しい動きが見られるようになった。私は小学校2年生からサッカーを始め、現在でも対外経済貿易大学の教員チームに加入している。留学生時代から大学のサッカーグラウンドに足を運びボールを蹴り続けているが、15年の夏ごろからその風景に変化が表れ始めた。児童向けのサッカースクールが始まり、お揃いのウェアに身を包んで練習する子供たちが現れたのだ。

 企業スポンサーのついた社会人サッカー大会も開催されるようになった。通信キャリア最大手の中国移動(チャイナ・モバイル)が16年6月に主催した7人制サッカー大会には、私も体育教師らと共に大学代表で参加した。

 このように、短期的には社会全体がサッカーに関心を示す環境作りに専念し、長期的には代表チームのW杯出場、自国でのW杯開催を目指している。

 「社会主義現代化強国」を目指す中国。スポーツの世界においても、国家主導で強国の仲間入りを果たすことができるのか。壮大な「社会実験」が始まっている。