
ロシアで開催された4年に一度の祭典、サッカーワールドカップ(W杯)。約1カ月に及んだ激戦は、フランスの20年ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。
今大会では日本も決勝トーナメントに進出し、FIFAランキング3位のベルギーにあと一歩まで迫り、日本国内も大いに盛り上がった。私が試合会場のあるサランスクへ応援に行った日本の初戦。試合会場はコロンビアから来た黄色のユニホームに身を包んだサポーターが圧倒的に多く、日本にとって完全アウェーの雰囲気の中で歴史的勝利を収めた。アジア勢W杯史上初の南米チーム撃破は「サランスクの奇跡」と呼ばれた。
今大会に代表チームが参加していないにもかかわらず、4年に一度の祭典に大いに盛り上がった国がある。中国だ。
「今回のロシアW杯。サッカー代表チーム以外、中国の全てが参加していると言っていいでしょう」
これは中国の有名キャスター白岩松氏が発した、国営テレビ局である中国中央電視台(CCTV)の番組でのコメントだ。このコメントの背景にあるのが中国企業スポンサーと中国人観客の多さである。
合計12社のスポンサーのうち、実に4社が中国企業。日本企業は1社も入っていない。市場調査会社ゼニスインターナショナルによると、今回のW杯開催中の中国企業の広告料は、米国の4億ドルの2倍以上となる8億3500万ドルに達し、全体の3割以上を占め世界一になるという。グラウンド脇の広告で日本人が見慣れない漢字が目につくのも当然だろう。
FIFAの活動全般をサポートする最高ランクの「FIFAパートナー」契約を締結している企業は全世界で合計7社。アディダス、コカコーラ、VISAなど世界的企業と並んで名を連ねる中国企業が、不動産大手の大連万達集団(ワンダ・グループ)だ。
また、今大会を支援する「FIFAワールドカップスポンサー」では、計5社の内、乳業メーカーの蒙牛乳業、vivoブランドのスマートフォンを展開する維沃移動通信、家電メーカーの海信集団(ハイセンス)の3社が中国企業であった。
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