月初めに購入し翌月の10日に返済すると約40日同様の方法で運用できる、という話をしていると、ある学生が更なる「裏ワザ」を教えてくれた。「商品を受け取ってから15日間支払いを保留できるので、月中に購入し、翌月に受け取り確認してホワベイで支払いすれば、実質の支払いは翌々月にまで延長できる」という。アント・フィナンシャルが提供する金融サービスは、学生の金融リテラシーを高めるのにも一役買っているようだ。

アリペイを使って信用スコアをアップ

 現在、中国では政府主導で信用社会の構築に取り組んでいる。中国政府は、政府機関や企業、個人などに対し、過去の犯罪歴や商取引、金融取引状況など様々なデータを基に信用評価を算出し管理する「社会信用体系」の早期運用を目指している。

 このような政府の動きに呼応するように、民間でも信用評価システムが開発されすでに運用されている。その代表がアント・フィナンシャル傘下の「芝麻(ゴマ)信用」だ。

 芝麻信用は、個人情報や信用履歴などのビッグデータを基に信用スコアを算出しており、現在では様々なサービスに幅広く活用されるようになっている。例えば、信用スコアが一定基準を超えると、借家やホテル、シェア自転車などのデポジットが不要になったり、消費者金融でお金が借りやすくなったりする。また、ホワベイの上限も信用スコアによって決定される。

 この信用スコアの評価基準には、投資や消費、ローンの返済状況などが含まれている。つまり、アント・フィナンシャルが提供する様々な金融商品をルールに則って利用するだけで信用スコアはある程度高まるシステムになっている。

 政府主導で進む信用社会の到来を予測する感度の高い若者たちは、この信用スコアを高めるためにも積極的にアリペイを使っているようだ。ユーザーにとってみれば、余額宝とホワベイを使って金利収入を得ると同時に、芝麻信用のスコアのアップにもつながり一石二鳥。アント・フィナンシャルにとっても、自社のビジネスの拡大につながり、まさにウィンウィンのモデルができ上がっているといえよう。

 アリペイはこの他にも様々な特典サービスを用意しユーザー獲得に躍起になっている。
 例えば、「紅包(御祝儀)」キャンペーンでは、アリペイのアプリ内でこの紅包を開くとランダムに金額が表示され、次回の消費時にこの金額分値引きを受けることができる。また毎年年初に一年間の使用状況をまとめて見ることができ、レストランやネット通販などでの細かな支出や友人間でのお金のやり取り、投資収益、信用状況などを振り返ることができる。

 アリババとテンセントがあの手この手でユーザーを囲い込むのは、アリペイやウィーチャットペイなどの決済アプリが、中国のニューエコノミーの中核となっているからだ。ネット通販、フードデリバリー、ライドシェアなど、続々と出てくる新しいビジネスモデルは全てこの決済アプリを前提に設計されている。「決済を制する者が、市場を制す」と言っても過言ではない。

 中国ニューエコノミーの覇権をめぐり、この二社による競争は今後も激しさを増していくであろう。