中国の環境汚染対策の現状

 中国の環境関連法律を見てみると、環境問題全般をカバーしている『環境保護法』以外に、『大気汚染防止法』、『水質汚染防止法』、『個体廃棄物環境汚染防止法』、『環境騒音汚染防止法』などがある。

 しかしこれらの法律は制定されてかなり時間が経過しており、現代の環境汚染問題に適切な対処ができなくなっているため、法改正が徐々に進められている。実際に、『環境保護法』が2015年1月から、『大気汚染防止法』が2016年1月から、『水質汚染防止法』が2018年1月から改正され施行されている。

 近年では、国民の大気汚染への関心は高まっており、それに伴い様々な対策がとられてきた。燃焼絶対量の多い石炭火力発電所に関しては、日本以上の規制をかけようとしている。

 中国の環境対策状況に詳しい堀場製作所の林奨環境プロセス担当部長によると、「石炭火力発電所で進めている超低排出規制はSO2で35mg/立方メートル、NOxで50mg/立方メートルとなっており、これは日本のLNGや最新鋭の脱硝脱硫設備を持っている発電所のみ実現できるレベル。また、測定のポイントを増やしてインターネットで結ぶ観測のIoT化が急速に進んでいる」という。

 また、石炭使用量そのものを減らそうと、発電燃料の天然ガスへの転換を急いでいる。中国政府は2030年に天然ガスの国内供給量を現在の約3倍となる6000億立方メートルまで引き上げる計画を掲げた。ただしこの計画については、中央政府からの指示を受けた地方政府が計画を大きく上回って転換を急いだため、天然ガス不足による価格の高騰を招き、工場の生産や庶民の生活にまで影響を及ぼしてしまった。

 環境投資も右肩上がりで上昇してきた。中国環境保護部の統計によると、中国の環境汚染対策投資総額は、2015年には中国経済の減速に伴う企業業績の悪化により減少したが、2016年には前年比で4.7%増の9220億元(約16兆円)にまで回復している。

中国の環境汚染対策投資の推移
出所:環境保護部の統計データより筆者作成

 このような努力もあり、中国の大気の状況は確実に改善している。中国環境監測総站の公表データによると、主要74都市におけるPM2.5の2017年一年間の平均濃度は、1立方メートル当たり47.3マイクログラムと、2013年の72.4マイクログラムから大幅に改善している。

 今年に入り特に大気汚染対策に取り組んでいる北京市においても、PM2.5の2017年一年間の平均濃度は、1立方メートル当たり58.3マイクログラムとなり、前年から13.5%改善した。実際に、今年の北京の冬は青空の日が例年と比べると明らかに多くなり、街中でもPM2.5対策のマスクをしている人はほとんど見かけない。