今冬の北京は青空が多い。北京のオフィス街「CBDエリア」から見た空もご覧のように青い(写真中央はCCTV=中国中央電視台の社屋、筆者撮影)

 中国の旧正月を迎えた2018年2月16日午前0時、北京市街に例年の熱狂はなかった。以前であれば新年を待たずして爆竹の音が鳴り響き始め、0時になった直後には部屋の中にいても、同じテーブルを囲む人ですらまともに話ができないほどの喧騒が街を包んだ。

 北京市内での春節期間における花火・爆竹の使用は2006年から解禁されたが、2017年末『北京市花火・爆竹安全管理規定』が修正され、北京市第五環状線(全長98.6km)以内での花火・爆竹の使用を再び全面的に禁止した。

 その理由の一つが大気汚染対策である。新華社の報道によると、過去五年間でみると春節期間に大気の状況が最悪の「厳重汚染」を記録したのは2~4日あり、PM2.5の濃度は毎年大晦日の8時から新年の明け方までにピークに達したという。花火・爆竹が大気汚染にもたらす影響は大きい。

 中国政府は今、近年国民の関心が高まっている大気汚染対策に力を入れている。習近平国家主席は昨年10月の中国共産党第19回党大会の演説で、「大気汚染対策行動を実施し続け、青い空を守る戦いに勝利する」と述べた。

 これに呼応するように、北京市、天津市、河北省といった大気汚染が深刻な華北地域を中心に、2017年11月15日から「史上最も厳しい」と言われる建設現場や工場などの操業停止や一部制限を実施している。

官民の努力で解決した日本の公害問題

 中国をはじめとする多くの発展途上国では、急速な経済成長や人口増加に伴い、環境汚染や産業公害が深刻化している。このような環境問題は、国家の経済発展過程において避けることができない「成長痛」のようなものであり、先進諸国においても様々な環境汚染や産業公害を経験してきた。

 日本では、1950年代後半から1970年代の高度経済成長期において、「水俣病(熊本県)」、「第二水俣病(新潟県)」、「イタイイタイ病(富山県)」、「四日市喘息(三重県)」の「四大公害病」に代表される様々な公害によって国民に大きな被害が発生した。

 1960年代後半、この四大公害の患者とその家族・遺族が、公害の原因とみなされる企業を相手に訴訟をおこし、いずれの裁判においても住民側の勝訴が確定した。これを契機に、公害に反対する住民運動が高まり、『公害対策基本法(1967年)』や『水質汚濁防止法(1970年)』、『公害健康被害の補償等に関する法律(1973年)』など一連の法律が制定され、これら公害関係法を総合的に推進する環境庁が設置された。

 環境問題の改善のためには、政府だけでなく民間による努力も必要である。経済産業省(旧通商産業省)の統計によると、民間企業による公害防止設備投資額は、1965年にはわずか297億円で、設備投資全体に占める比率も3.1%にすぎなかった。しかし、四大公害訴訟の後に投資額は急増し、1975年には9000億円を超え、設備投資全体に占める比率も17.1%に達した。官民を挙げた努力により、日本の公害問題は沈静化へと向かった。