競争が激しい広告の世界では、負けることはしょっちゅうだ。プレゼンテーションでの負けはおろか、プレゼンテーションの機会すらもらえない場合もある。大事なお客さんや有力なチームメンバーを失うこともざらにある。

 このような痛手を受けると精神的に相当きつい。とりわけ、新しいアイデアを生み出すために全身全霊を傾けるクリエイティブ担当者のショックは計り知れない。大きな競合プレゼンに負けたとき、私は短く感じのよい率直な言い方で(できるだけ面と向かって)その悪いニュースをスタッフに伝えるようにしている。

 「残念ながら、クライアントが選んだのは〇〇です」

 そしてすぐ、ポジティブな話に焦点を合わせる。うちの案はずいぶん質が高かった、おかげで、たくさんの新しいクライアントにアプローチできる――そんな話だ。悪いニュースを引きずり、愚痴をこぼしたり敗北の言い訳をしたりするのではなく、「次、がんばりましょう」のひとことで会話を終える。楽観主義を取り戻し、後ろ向きの気持ちを前向きな変革へのエネルギーに転換するのである。

5000回以上の失敗から生まれたダイソンの掃除機

 成功した数多くの人物が、失敗が人生で大きな役割を果たしたことを認めている。オプラ・ウィンフリーは上司に「テレビ向きではない」と言われて、最初のニュースキャスターの仕事から降ろされた。そこであきらめるのではなく、彼女はむしろ上司の間違いを証明してやるぞというグリットを発揮した。

 絵本のベストセラー作家、ドクター・スースは、最初の本を27の出版社に却下されている。レディー・ガガは最初のレコード会社からたった3カ月で愛想をつかされた。

 そしてアメリカの偉大な大統領、エイブラハム・リンカーンは事業に失敗し、大統領になる前は8回も選挙に落選している。何かに1000回以上も失敗するというのを想像してみよう。3000回でもいい。それでもあきらめない人がどれくらいいるだろう?