部下のグリットを伸ばす2つの言葉

 社員のグリットを伸ばしながら仕事に取り組んでもらうには、次の2つのフレーズを率先して使うことから始めよう。“Please”(プリーズ=あなたにぜひ○○をしてもらいたい)と“Thank you”(サンキュー=ありがとう)だ。

 こんな話がある。ある法律事務所では離職率が高く、外部のコンサルタントに相談したところ、「部下に『プリーズ』と『サンキュー』を言うようにするべきだ」というシンプルなアドバイスを受けた。そこで、管理職全員に対し、部下にこの2つの言葉を使わなかったら罰金を科すというルールを設けた。「~を書いてもらえますか」「~をやってくれて、ありがとう」という具合だ。

 その結果、何が起こったか。かつて「マンハッタンで最も働きたくない法律事務所」と言われたこの事務所が、たった2つの言葉のおかげで、今では、最も勤勉な社員を抱える最も働きたい法律事務所の一つに変身したのだ。部下は自分の考えが尊重されていると感じ、上司の期待にこたえようとするようになったからだ。

 部下が、自分にはグリットや気力がないと感じていたら、こう言ってあげよう。

 「いや、君ならできる。自分では気づいていないだけだ」

 部下のグリットを培うためには、まず「君なら必ずやり遂げられる」と信じてあげることが重要だ。自分の頭脳や才能は不変のものだという考え方を「フィックスト・マインドセット(固定思考)」と言い、能力や才能は向上しうるという考え方を「グロース・マインドセット(成長思考)」と言う。

 部下のグリットを育てるには、組織のなかに「成長思考」な土壌を築き、真面目に努力すれば誰でも大きく成長する可能性を秘めている、と部下たちに信じさせることが欠かせない。

準備は悲観的に、結果は楽観的に受け止める

 人が立ち直るうえで楽観主義は必要不可欠だ。それがあれば、つらいときにもやる気を持続できる。だが失敗も同じように、私たちの意欲をかき立ててくれる。

 近年、ビジネススクールでは失敗の研究が盛んである。シリコンバレーの鼻息荒い起業家のあいだでは、失敗がひとつの勲章になっている。『フェイリャー(失敗)』という雑誌もあり、成功をめざす人たちの参考書として使われている。

 最近では、失敗は必ずしも恥ずかしいものではなく、学習、創造、向上のための、そして成功法を見つけるための大事なカギと見なされることが多い。