アイビーリーグに通わなくても、GPA(成績平均点)が最高値でなくても、SAT(大学進学適性試験)で2400点を取らなくても、成功するチャンスは十分ある。

 むしろ、あなたの10倍頭がいい人よりも、あなたのほうが成功しやすい。天才が成功する確率は、わずか2%にすぎない。頭脳明晰だと何もかもが容易にできてしまうが、その才能のせいで努力を怠るようになり、大人になって障害にぶち当たるとお手上げ状態になりやすい傾向がある。

 ずば抜けた頭脳の持ち主でないほうが、努力することの意味と価値を理解して、実行しやすいというわけだ。

「ゆとり世代」の失敗を繰り返すな

 著書『GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」』では、人々にこうした事実を知らせ、自信を与えるためのメッセージを盛り込んだ。米国では、非常に多くの親が、この本を子どもに贈っていると聞く。

 現代の米国の子どもたちは、十分なグリットを持ち合わせていないと言われている。グリットの低下を招いた問題の一つが、ひと昔前に盛り上がった「自尊心運動」だ。

 心理学者や社会学者らは、子どもにもっと自尊心を植え付けるよう説いた。「自分がいかに特別な存在か」「いかに聡明で唯一無二の存在か」を子どもたちに言い聞かせなければならない、と主張した。

 2000年以降に成人したミレニアル世代の多くは、自尊心運動のなかで育った。全員がトロフィーを手にし、勝ち組も負け組もない。あるのは、たったひとつの共通のメダルだけ。「楽しければ、勝ち!」の世界だ。(著者注:日本でも同じように「ゆとり教育」が推進された時代があった)

 だが、現実はそんなふうにはいかない。勝つのは一人だけ。楽しんだからといって勝利はつかめない。それが人生だ。

 私の子ども時代は、試験で95点を取れば、父にこう言われたものだ。

 「残りの5点はどうしたんだ? 今度は満点を取るんだぞ」

 自分が特別だとか唯一無二の存在だとか言われたことなどなかった。両親から、「仕事にありつきたいなら、一生懸命やらなきゃダメだ」と言われて育ったものだ。

 そしていま再び、努力・根性・忍耐・情熱といった、努力の原動力の重要性に光が当たるようになってきた。