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 ここから出てきたコンセプトは当然「呉須」になり、この窯元が得意とする濃み(だみ)という伝統技法を生かした製品を開発。海外にも販路を広げています。

呉須の濃淡を5段階にして、濃み(だみ)という手法で加飾した器(写真:副久製陶所)

 焼き物や道具が積まれた倉庫や静ひつな空気が漂う様子は共通していても、窯元ごとに違う「何か」があります。何気ない日々の仕事のなかでそれを見つめ、形にしていくことが伝統工芸のマーケティングなのだと考えています。

 私が担当する窯元は初年度2軒でしたが、翌年2軒増えて合計4軒になりました。4軒には私の家に来てもらい、全員でマーケティングや経理の勉強会を開催しました。4軒とも夫婦で参加。勉強会が終わったあとも窯元同士で原価計算の考え方を議論したり、商標登録についてお互いに情報交換をするようになりました。そこから有志でセミナーに参加したりするなど、自然な形で「チーム」ができていました。気がつくと、2年の任期が終了。私の有田での仕事は一段落しました。