すると、あれほど苦労したアキオの介護食作りが一転、楽しいものに変わり、次から次へといろいろな食材の調理方法や組み合わせのアイデアが浮かぶ。
さっそく、鮭以外にもホタテ貝やタラなど、メインの具材を変えてバリエーションを楽しむ。軟らかい肉団子を入れたクリームシチューも大好評だった。
すき焼きも、ハッシュドビーフも!(もちろん介護食です!)
すき焼きが好きなアキオに、どうにかしてすき焼きを食べさせてあげたかった。試しに、牛肉をフライパンでさっと焼き、すき焼きのタレを多めにからめてから粗めにミキサーにかけ、とろみをつけてみた。これが大好評。
アキオは一口食べて「おおおおお!」と声を挙げ、(アキオなりの)ガツガツモード全開で一気に食べた。よって初登場で殿堂入り、我が家の定番メニューに決定だった。1つうまくいけば、それを応用できる。このすき焼きのタレをデミグラスソースに変えるだけで、ハッシュドビーフが完成だ!
お刺身好きなアキオのために、タルタル(生の素材を細かく切って味付けした料理)にすれば食べやすくなると思いつき、早速試してみたら、これまたアキオは大喜び。
アキオは食べるのに時間がかかる。そして、あらかじめ調味料をかけて時間が経つと、魚の水分とともに臭みもでてきてしまう。なので、味つけの調味料は食卓で食べる直前にかける。わさび醤油だけでなく、オリーブ油のドレッシングでイタリアンのカルパッチョ風にしたり、ごま油を使って中華風にしたりと、タレを変えるだけでバリエーションを楽しめる。
刺身のツマの茗荷や、シソ、大根などはアキオには食べにくいので添えられないが、「お刺身らしい」見た目も大事。皮を剥いたトマトとアボカドを細かく切って加えると華やかになり、刺身との相性もバツグンだった。
2人で食べる食事のメニューは基本、2人とも同じ。アキオの食べ物の形状が少し違うだけだ。わたしがお刺身を普通に食べ、アキオはタルタルを食べる。わたしは普通に炊いたご飯、アキオはお粥という具合。アキオのお粥には飽きずに食べられるように、肉みそ、鯛みそ、海苔の佃煮、粒うに、うに豆腐、いくら、タラコ、クリームチーズなど、いろいろな味の「お粥の友」をもれなく付ける。
里芋は出し汁で軟らかく煮てペースト状につぶし、さらに出し汁を少しずつ加えてゆるくのばす。これを小鉢に入れ、練りみそを載せて田楽風にしていただく。練りみそを赤みそ、白みそに変えたり、ごまだれや木の芽みそにすればバリエーションが広がる。
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