病院の流動食はあまりおいしくなかった

小竹:入院中の病院の食事はいかがでしたか。

クリコ:病院で出されたのは流動食でした。出来上がったものを丸ごとミキサーにかけているので、何が入っているのか、何の料理なのかが、まず分からなくて。夫は2日目で食べるのを放棄してしまったんです。夫に「コレ、食べてみてよ」と言われて、私も食べてみたんですが…、おいしくありませんでした。

小竹:どうおいしくないんですか、塩気がないとか、うま味がないとか?

クリコ:例えば丸ごとミキサー食のほかに、毎日、お魚の形に型抜きされたムースが出るんです。ピンク色だったり、緑色だったり。味は薄いし、魚を食べている感じもしない。多分、魚のすり身で作ったものだとは思うんですが…。おいしいとは思えませんでした。夫に「食べないのはワガママだ」と言ったものの、おいしくないものを無理に食べさせるのもかわいそうで…。

小竹:退院後の食事については、病院はどんな指導をしてくれたんですか。

クリコ:それが、…ほぼないに等しかったんです。退院後の食事については、摂食・嚥下障害看護認定看護師という専門職の方がいます。噛むことや飲み込むことが不自由な人向けに食事のアドバイスや、QOL(生活の質)を上げるための助言をする専門職なんです。ただ、当時は「やわらかければ何でもいい」というアドバイスしかもらえませんでした。

 主人の場合は、嚥下機能検査(バリウムの入った食べ物を口に入れてから飲み込む過程をレントゲンで観察する検査)の数値で言うと、飲み込む機能は問題なかった。問題は噛めないことですから、やわらかくすればいいですよ、と。

 でも夫は、ほとんどスープのような20倍がゆを食べるのに1時間半もかかっていて…。やわらかければ何でもいいとは、到底思えませんでした。もっとほかに助言や指導があると思っていたのに…。それが最初のつまづきでした。

介護食を始めたら、短時間で作る工夫ばかり

クリコ:あ、枝豆のポタージュが完成しました。ぜひ、試食してみてください。

小竹:あっという間にできましたね!

クリコ:はい。以前は時間をかけて、丁寧に料理をするのが好きで、ずっとキッチンに立っていても苦じゃなかったんです。けれど夫の介護食作りをするようになってから、180度変わりました。

小竹:私も、キッチンにずっと立っていても苦じゃない方です。でもどう変わったんですか。

クリコ:ひと言でいうと「時短調理」です。

 介護食作りって、普通の料理よりもとにかくひと手間もふた手間も多くかかって、時間が飛ぶように過ぎていくんです。「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と自分で自分を追いつめて、余裕がなくなって、夫に当たってしまうこともあって。本末転倒ですよね。

 それで「時間をかけて丁寧に」から一転して、「時短調理」がテーマになりました。それからは、いかに短時間で作るかという工夫ばかり(笑)。このポタージュも、じゃがいものピュレ(茹でてつぶしたもの)の作り置き冷凍を使って時短調理しました。作り置き冷凍も介護食作りをキッカケに初めて、始めたことなんです。

小竹:本当に、15分くらいでできちゃいましたね。しかも、火を使っていない。そうか、もう、調理済みのじゃがいものピュレを使っているから、ゆでる時間がいらないんですね。電子レンジで解凍して混ぜるだけ。なるほど、時短調理ですね!