口腔底がんの手術後、モノを噛む力を失った夫のために、介護食作りに取り組んだ料理研究家の妻クリコ。彼女がつづった、仲良し夫婦のおいしい介護食ストーリー『希望のごはん』は発売以降、大きな反響が続いています。

 今回は料理レシピサービス「クックパッド」の創設メンバーであり、同社のブランディング・広報担当、料理教室事業部長でもある小竹貴子さんと、『希望のごはん』の著者が対談。料理が大好きな二人が介護食を取り巻く状況について語ります。(対談は2017年7月末に実施)

クックパッドの小竹貴子さん(写真内左)と『希望のごはん』著者であり介護食アドバイザーのクリコさん(撮影:千倉 志野、ほかも同じ)

クリコ:今日はクックパッドさんのキッチンをお借りして、介護食を作りながらお話できるのを楽しみにしていました。小竹さんも、お料理が好きだと聞いています。

小竹:はい。私はよく家で、夜中に料理をするんです(笑)。クックパッドにも投稿していただいているクリコさんの「希望のごはん」を、実際に調理するところを見られて今日はうれしいです。

クリコ:ありがとうございます。それにしても、夜中に料理というのは、また…。

小竹:家に帰って仕事をしていると、頭が「わああ」となることがあって(笑)、それで料理を始めるんですね。わりと地味に小豆を炊いたり、野菜をひたすら切ってコールスローを作ったり。

クリコ:集中して無心になっていくんですよね。料理にはそういう効果がありますよね。

小竹:そうなんです。

クリコ:今日は、夏が旬の「枝豆のポタージュ」を作ります。これはもともと夫がビシソワーズ(じゃがいもの冷製スープ)が大好きで、翌日、余ったポタージュに枝豆をすり潰して加えて楽しんでいたものです。

小竹:ご夫婦で元気に暮らしていた頃の定番料理というと、思い出のレシピなんですね。いつも、ご家庭でポタージュを? 普段からオシャレなお料理を食べているんですか。

クリコ:私が料理教室を始めたのがイタリア料理で、夫もイタリア料理が好きで、オシャレというよりも、自然と日頃から洋食が多かったんです。

日頃よく食べている料理の延長線上で、介護食を

小竹:それで、著書の『希望のごはん』で紹介しているご主人の介護食も洋食が多いんですね。「介護食だから特別な料理を」というよりも、日頃食べ慣れている料理をベースにする方が、やっぱり家族もうれしいということでしょうか。

クリコ:そうですね。いつも食べていたものから、介護食があまりにもかけ離れてしまうと違和感が大きくなりますし、日頃の食事に近い方が安心感がありますよね。もちろん和食や中華も大好きで、介護食にアレンジして食べていました。

 夫が好きだった「我が家の定番メニュー」の中から、どれをどんな風にアレンジしたら噛む力を失った状態でも食べられるかと、毎日、自分のレシピとにらめっこして。

 夫は、手術の口の中の傷が治っていく過程で、食べられるものが変わっていったのですが、家庭で作るからこそ、柔軟に対応できたと思います。それに、病気だからこそ、夫が大好きな料理を食べさせてあげたかったんです。