クリコ:シート肉は、作る段階ですでに一度電子レンジで加熱して7割程度は火が通っています。揚げる時に、ひっくり返せば両面しっかり揚がります。油をたっぷり入れて、あふれたりしたら大変ですしね。

助っ人F:なるほどー。

クリコ:そして今回は米油を使います。加熱しても酸化しにくく身体に良いとされています。それから、目の細かいパン粉。普通のパン粉は一つひとつの粒が大きく、揚げるとパリパリになって口の中で歯茎や舌に当たり、口の中がガサガサして噛みにくい。以前は、普通のパン粉を自分でフードプロセッサーなどで粉砕して細かくしていましたが、最近では「細目」「極細」と表示された目の細かいパン粉がスーパーなどで手に入ります。便利になりました(笑)。

編集Y:へええ! そんなの売ってるんだ!

クリコ:では、前回作ったトンカツ用シート肉に、マヨネーズを塗ってパン粉を付けていきましょう。お皿にマヨネーズを少し多めに出します。Yさん、トンカツ用シート肉のラップを外して、この上に置いて、指でまんべんなくマヨネーズを塗ってください。

編集Y:はい。えっと…このシート肉を、マヨネーズ皿の上に移動っと、うわっ、コレ、ぷにょぷにょしてる!

クリコ:持ってみて、扱いやすそうですか?

編集Y:うーん、真ん中辺りが、ゆるい感じがします。頼りなくて、つながってないぞ!という感じ。ちょっと、ビチャビチャしているような。

クリコ:ああ、本当。真ん中がゆるいですね。こういう時はもう一度、電子レンジで加熱します。完全に火は通さないけれど、ゆるゆるはダメ。扱いにくいし、せっかくのトンカツの形が崩れてしまいます。10秒ぐらい加熱しましょう。

 シート肉を手で持ったときに、指先にベタっとくっつかず、扱いやすい状態というのが目安です。ココで電子レンジで加熱した分、油で揚げる時間を短くすればいいんです。

編集Y:なるほど! 加熱は電子レンジと揚げるのとで配分すればいいんだ!

 ビーッ♪ 電子レンジで再加熱終了。

クリコ:余熱が冷めるまで、少し時間をおきましょう。

肉によって融点が違う、固さが変わる。ではどうする?

 <余熱が冷めるのを待つ間>

助っ人F:前回、シート肉の材料の大和芋やお豆腐の分量は、アキオさんにちょうどよいやわらかさにするために、配分を変えては試し、変えては試しを繰り返したとお聞きしました。配分だけでなく材料も変えてますよね? 鶏、豚、牛豚と3種類のシート肉のレシピには、大和芋を使うものと、長芋を使うものとがあります。

クリコ:はい。材料も「変えては試し」の繰り返しでした。

 もともと定番料理としてあった「ふわふわ鶏団子」や「牛豚ハンバーグ」などの材料をベースに、何をどれくらい足したら、よりやわらかくなるのか試しては、配合を変えていったんです。

 実は、鶏、豚、牛と、肉によって脂身の融点、つまり脂が溶ける温度が違います。融点が高い程、口の中に入れた時に肉の脂が溶けにくく、肉質は固い。鶏、豚、牛の順に融点は高くなるので、肉質は鶏→豚→牛の順番に固いんです。

 一方で大和芋と長芋では、長芋の方が粘りが少なく水気も多くてやわらかい。それで、やわらかい鶏と豚には大和芋と豆腐を混ぜ、より固い豚には肉の分量を減らして大和芋と豆腐の配分が多くなるように組み合わせて。牛豚の場合は、肉の分量を減らしたうえに水気の多い長芋を混ぜ、コク出しのための生クリームが入ることでも水分が加わってやわらかくできました。

 整理すると、やわらかい順は

【肉】鶏 → 豚 → 牛
【芋】大和芋 → 長芋

 なので、材料の組み合わせは、

 鶏シート肉=鶏ひき肉+大和芋+豆腐
 豚シート肉=分量を減らした豚ひき肉+大和芋+豆腐
 牛豚シート肉=分量を減らした牛豚ひき肉+長芋+生クリーム

 という具合です。

 もちろん、初めからこんな風に理路整然と考えられたわけではなくて…。
 だから、最初に作った鶏シート肉は、それはたっくさん失敗しましたよ。

編集Y:失敗すると、どうなってしまうんですか?