クリコ:ひたすら、混ぜては試し、混ぜては試し、です。アキオが食べやすいやわらかさになる、ちょうど良い配分を探したんです。
編集Y:ううむ。
クリコ:では、できあがったシート肉を600Wの電子レンジで40秒くらい加熱します。

クリコ:完全に加熱してしまうと固くなってしまうし、後で油で揚げるので、7割程度に加熱しておきます。途中、ぶわっと膨らみますがビックリしないで。レンジの中の様子を見ながら……あ、もういいですよ。ほら、真ん中がうすいピンク色になっていて、肉ダネの色が残っていますね。これが完全に加熱されていない印です。
編集Y:おおお。

レンチン40秒で、材料が「ふわふわのお肉」に変身!
クリコ:はい、はんぺん状にやわらかく固まりました。余熱を冷ましたら「ふわふわ豚シート肉」の完成です。
助っ人F:やった!
シート肉の熱が冷めるのを待つ間に、クリコさんは「材料が残っているので、わたしがもう少し作りますね」と、残りの肉ダネを計量し始める。さすがに慣れている様子で、パパパッと手早い!
助っ人F:先生、割とラフにやってますね。
クリコ:そうですか? これをラップでたたんで…。
編集Y:お、もうできた。速い! 30秒くらいしかかかっていない! わたしの5分の1くらいかな?
助っ人F:恐る恐るやっている人と、慣れてる人の違いですね。
編集Y:ホントにアッという間だ。慣れれば、こんなに短時間でできるんだ。
次回はいよいよ、料理初心者の編集Yさんが、ふわふわ豚シート肉を油で揚げて「トンカツ」を作ります。
クリコです。「ダンナが、ガンになりまして」連載の単行本化を記念しての調理実習連載をお読みいただき、ありがとうございます。初めての書籍、初めての編集作業は戸惑うことばかり。こちらに、その制作裏話をご紹介します♪
書籍を作る時には、その本の中で使う言葉遣いを統一する「用字用語のルール」を決める、というお話を前々回にもお伝えしました。「軟らかい」と表記するか「やわらかい」とするかを決める、というものです。
この言葉遣いを統一するルールは料理の材料名や、料理名にも及びます。基本的には出版社ごとにルールがありますが、「どちらでも構わない」場合は、なんと、そのルールを決めるのはわたし、著者なのです(もちろん、編集さんと相談しながらですが)。
編集Y:クリコさん、料理名の「枝豆豆腐の粒うに添え」の「豆腐」は漢字にしますか? ひらがなにしますか?
クリコ:ひらがなにします!
編集Y:それは、どうしてですか?
クリコ:かわいいから!
編集Y: ………。
クリコ:(あ、黙った! …ど、どうしよう!? もしやYさん怒った? ←心の声)
助っ人編集F:クリコさん、表記ルールには一応、明確な根拠がないと…。
クリコ:えっ、なんで?
編集Y:まあ、仮にですが、誰かに「どうして漢字じゃないんですか」と聞かれたときに、「著者のこれこれの意向で」と説明できるとありがたい、です。
クリコ:ええっと(汗)、ひ、ひらがなの方が親しみやすいし、読みやすいし。それにほら、料理名の「枝豆豆腐」は豆が連続して読みにくくありませんか?
助っ人編集F:たしかに! しかも、料理名は楽曲タイトルや、商品名のようにオリジナリティーがあって印象に残る方がいいですね。では、材料として登場する時はどうしますか?
クリコ:材料としてのお豆腐は…漢字にしましょう! 見慣れている文字ですし。
かくて、わたしの本でお豆腐は、料理名では「とうふ」、材料名では「豆腐」と使い分けることになったのでした。…自分がルールを決めていいなんて! 凄いような怖いような…。でも、頼りになる編集さん達がいてくださるからこそ。
Yさん、表記ルールでは「とうふ」以外にもイロイロ、ご迷惑をおかけしました! この場を借りて、お詫びと御礼をお伝えします!
あ、ご迷惑をおかけしたと言えば、あの時も…。
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