クリコ:さて、今回のトンカツ作りの大まかな流れとしては、まず肉ダネを作ります。次に、その肉ダネを薄切り肉の形のシート状に形を作る。これが「ふわふわ豚シート肉」です。そして、それをパン粉を付けて油で揚げる、という工程です。

編集Y:なるほど、トンカツなら豚肉をどん!と置くところからなんでしょうけれど、今回は、最初に素材になるシート肉を作るところから始めるんですね。ええと、材料は……豚ひき肉に、綿豆腐、すりおろした大和芋、玉ねぎ、しょうが、溶き卵に麩、片栗粉に塩、マヨネーズ…と。

編集Y:あれ? なんでマヨネーズを入れるんですか?

クリコ:マヨネーズの乳化粒子がお肉のたんぱく質の構造に入り込み、加熱後も肉が固くなることを防ぎます。

編集Y:へええ!

助っ人F:肉ダネに「お麩」を入れるのも、ちょっと不思議。

クリコ:お麩の役割は、ひき肉と、その他の材料の“つなぎ”なんです。挑戦し始めたころは、肉団子やハンバーグのつなぎにパン粉を使うのが普通なので、パン粉も試したのですが、お麩の方が保水力が高く、ほかの材料の水分をきちんと吸収して、外に逃がさず、ふっくら仕上がるんです。ほかの材料と一緒に入れてしまうと、お麩が粉砕されずに残ってしまいます。材料全体にお麩が行き渡るように、あらかじめ細かく粉砕しておきます。Yさん、最初にお麩だけをフードプロセッサーで細かく粉砕してください。

編集Y:材料の役割、作業の意味が分かると、「料理」というより「工程」って感じで、プラモ作りやシミュレーションゲームみたいで不安が減ってありがたいです。じゃ、お麩だけを粉砕、っと。(お麩をフードプロセッサーにかける)

クリコ:次に、すりおろした大和芋以外の材料をすべて、同じフードプロセッサーに入れて粉砕してお麩と混ぜ合わせます。大和芋を入れないのは、これは粘りが強くて、フードプロセッサーの刃が回りにくくなってしまうからです。

このフードプロセッサーは、上から押さえつけるとスイッチが入る仕組み。
このフードプロセッサーは、上から押さえつけるとスイッチが入る仕組み。

編集Y:大和芋以外の材料を全部入れて…(ガガガガガっと再びフードプロセッサー作動。が、ふっと音が軽くなる) 。あれ?

クリコ: はい、一度止めて。肉ダネがフードプロセッサーの刃が当たりにくい部分に集まっているんです。逆さまにしてトントントンと叩いて、刃が当たるように肉ダネを寄せて、もう一度、粉砕してください。

編集Y:トントントン!っとしてから、さらに粉砕!(ガガガガッ…)

分量は常に正確に

クリコ:このフードプロセッサーは容器を取り外せるので、容器部分を振って中身の偏りを解消できますが、普通の据え置き型の場合はヘラなどを使って、中身が刃に当たるようにします。

クリコ:では、フタを開けてヘラで中身を均一に混ぜて、お肉や玉ねぎの粒が残っていないか確認してください。粒が残っていると噛みにくくなります。ああ、大丈夫のようですね! じゃあ、最後に大和芋を入れて、またフードプロセッサーでよく混ぜ合わせます。途中で一度、中身を確認してみてください。

編集Y:大和芋を入れて…お、フードプロセッサーの動きが急に重くなった。なるほど。

クリコ:ね? すりおろした大和芋はネバネバしているので、刃にからみつきやすいんですよ。

編集Y:(フタを開けてヘラで中身をすくって確認する)食材の粒は見えないようです。

クリコ:ああ、イイカンジですね。はい、これで肉ダネができあがりました。

編集Y:え、もう? …なんか、科学実験みたいで楽しいですね!

助っ人F:ていうか、Yさん、フードプロセッサーの操作しかしてないから!

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