助っ人F:料理をする時はいつも、きちんと計量するんですか?

クリコ:いいえ、自分で作るときは、こんなふうにいちいち皿に載せて用意しておいたりせず、鍋やボウルに直接入れていきます。でも、材料はしっかり計量しますよ。

助っ人F:それってめんどくさくないですか?

クリコ:たとえば、味を決める基本は塩ですよね。

編集Y:あ、そうなんですか?!

助っ人F:ええ、そうですよ?

クリコ:そして、塩の分量は、料理によって「全体量のどのくらい」と、人がおいしいと感じる割合は決まっているんです。なので、毎回しっかり計ります。そうすれば、いつも同じ味にできます。つまり、大失敗がない。

編集Y:分量をきちんと計るのも大事、と。そういえば私の奥さんも、「スイーツをつくるのはほとんど科学実験なのよ」と言ってました。

クリコ:そうです。お菓子類はとくに分量厳守です。案外、男性向きかもしれませんね。

話題の「誤嚥性肺炎」の対策にも

編集Y:ところで、枝豆のポタージュなのに、飴色玉ねぎだけじゃなくて、じゃがいものピュレ(茹でてつぶしたもの)の冷凍キューブも入れるんですね。

クリコ:じゃがいもを入れるのは、炭水化物を足して栄養価を上げつつ、スープに「とろみ」をつけて飲み込みやすくするためです。サラサラした液体は一見飲み込みやすそうに思えますが、実は、口の中からのどに勢いよく流れ込むので、誤って気管から肺に入りやすいのです。

助っ人F:この本の編集を始めたころから世間で話題になっている「誤嚥(ごえん)」ですよね。気管に食べものが入って、口の中の細菌がいっしょに肺に侵入し、肺炎などの重篤な状態を引き起こす、という。

編集Y:そうか、誤嚥対策という意味では、このレシピはその手段のひとつにもなるんですね。

クリコ:ええ。そもそもアキオのように、噛む力を失っただけでなく下あごが麻痺してしまうと、そこに異物があっても感知できませんから、口の中に残った食べものが気管に入りやすくなるんです。「誤嚥こわい! わたしのアキオには、絶対誤嚥なんてさせないぞ」と誓って作り始めたのがこのメニューたちです。

「料理って大戦略っぽい」…え?

助っ人F:ところで、じゃがいもはとろみをつけるため、それでは、飴色玉ねぎを加えるのは?

クリコ:うま味と甘みを出すためです。ちなみに、生クリームはこっくりしたコクのために入れます。当たり前のことですが、一つひとつの材料にはそれぞれ意味というか、役割があるので、それを意識しながら調理すると、男性の方もだんだん「お料理」との距離が縮まりますよ。

編集Y:そうか、料理って「順序や分量を丸覚えしなきゃ!」と思っていて、どうにも苦手意識が先に立っちゃうんですけれど、その都度きっちり計量し、役割を意識しながら投入していく、という考え方もあるんだ。…ん? これって、なんだか戦略シミュレーションみたいな感じかな?

助っ人F:せ、戦略シミュレーション?

編集Y:「大戦略」とか「戦闘国家」とか。知りません?