ひと目みて「これ、なーに?」と何だかわからない様子のアキオ。油で揚げた海老つみれしか出したことがないので、不思議そう。でも、食べてみたら「海老つみれだ!軟らかーい」と、おいしい笑顔がこぼれた。やた!

新しい「アキオごはん」が、介護食から生まれ始める

 ぶり大根も、大根をいつもりより小さく切り、レンジで軟らかくしてから、さらに30分以上煮てトロトロに。ぶりは、脂が乗って軟らかいお腹の部分だけをほぐして添える。

 肉や魚の西京漬け(みそ漬け)はお店で買うもの、と思っている人が多いと聞くが、我が家ではもともと味噌床を作っていて定番料理の一つだった。自分で甘さや軟らかさを調整できるので、タラやサワラなどの軟らかい魚を漬けてはアキオの食卓に出し、アキオは喜んで食べた。

 病気になる前にいつもアキオが食べていた大好物を、今のアキオが食べられるように工夫する。食べさせてあげたいと思うものを、どうしたら今のアキオが食べられるかを考える。介護食というと「どう作ればいいのかわからない」「作るのが難しそう」「おいしくない」と先入観を抱きがちだが、作ってみたらおいしくできて、「コレが食べられるなら、今度はアレを」とメニューはどんどん広がり、我が家の定番家庭料理は、今までどこにもなかった「アキオごはん」という新しい家庭料理に形を変えていったのだった。

野菜ピュレを作り置き冷凍して気持ちにゆとり

 アキオが喜ぶ顔を想像しながら、こうした工夫や、料理のアイデアを考えるのは楽しくて、次から次へと思いついた。だが、実はこうした工夫やアイデアを考えられるようになったのは、ある時短調理法によって時間のゆとりが生まれ、気持ちにゆとりができたおかげだった。

 その時短調理法が「冷凍野菜ピュレCube(キューブ=立方体)」の活用だ。

 わたしは毎食のアキオのごはんの付け合わせに、ビタミンやミネラルなど栄養豊富な野菜をたくさん摂ってほしいと、色取り良くほうれん草、かぼちゃ、ブロッコリーの3種類の野菜を用意していた。例えば、ほうれん草は軟らかく茹でて、ミキサーにかけ、出し醤油で味付けしてとろみをつけてお浸しにという具合。

 ある時、ほうれん草を茹でてミキサーにかけた状態のもの(=ピュレ)を見て、「わたしコレ、毎回作っているなー」と思い、もしかしてコレ、定番なんだから作り置きしておけばいいのでは? と思いついたのだ(よく考えると、思いつくのが遅い!)。

 野菜ごとに一度にたくさん、軟らかく茹でてミキサーにかけて作ったピュレを、それぞれ、小分けの冷凍容器に入れて冷凍保存しておく。これを必要な時に、必要な分量だけ使えば、調理時間を大幅に短縮できるじゃないか!

心強い助っ人、茹でた野菜をミキサーにかけ小分け冷凍した野菜ピュレCube

 初めはほうれん草、かぼちゃ、ブロッコリーの3種類だけだったが、ほかに、人参やタマネギ、ジャガイモなども加えた。さらには蒸し茄子や、あめ色タマネギなど調理済みの野菜や、ミックスキノコ、ソーセージなど、料理にコクやうま味を足すためのピュレも作って冷凍保存した。

 冷凍野菜ピュレCubeの使い方はこうだ。

 例えば、毎日毎食アキオに出しているお粥は、いつも白粥では飽きてしまう。お粥を作るときに、炊いたご飯と水、コンソメの素を入れた鍋に、ほうれん草の冷凍野菜ピュレCubeを凍ったまま1つ、ポンと足して煮る。それだけで「ほうれん草のリゾット」ができる。かぼちゃのピュレCubeを足せば「かぼちゃのリゾット」に、ミックスキノコのピュレCubeを足せば「ミックスキノコのリゾット」になる、という具合。

いつものお粥がほうれん草のリゾットに