クリコ:みんなにタクシーに乗せてもらっていて、ちゃんと家まで帰ればいいのに、たぶん途中で降りちゃうの。途中で降りて、ふらふら歩いて、どこか例えば何かベンチで寝ていたりとかして。

駒村:駅の下の自転車置き場とかですよね、いる、いる。

クリコ:朝、コートを見ると、木の葉が付いているから、「あなた、外で寝たでしょう」と。「え、覚えてない」とか言うんですが、穿いたまま寝ていた厚手のウールのズボンがびりびりに破れているんです。ウールですよ、ツイードの厚ぼったいのが。慌てて脚を見て、すごいけがをしているんですよ。「大丈夫?」「痛くない、痛くなかった、昨日は。今朝は痛いけど」とか言って起き上がったら枕が血で汚れているとか、そういうのがいっぱいあるんです。

昭和のおっさんとガード下で飲んでます!

駒村:すごく分かります。いますよね、います、います、私の周りにもすごくいます(笑)。そういう、かわいい“昭和のおっさん”、東京・新橋にいそうな人と私はずっと仕事していたんです(笑)。ガード下で、その人たちといつも飲むんですよ。

クリコ:えーっ、本当に?

駒村:「ズームイン!!SUPER」という日本テレビの朝の番組に出ていまして、もう終わって6年以上経っているんですが、「おい、駒村、新橋来るか」みたいな感じで誘われます(笑)。

クリコ:へえー。

駒村:当時、5:20から始まる番組だったんですけど、ある日、朝5時ぐらいに打ち合わせで部屋に入ったら、「下、注意してね」とみんなが言うから何かなと思ったら、番組でいちばん偉い人が、床に横たわって寝ているんですよ!。「おじさん、おじさん、始まるよ、始まるよ」と起こしたら「やべえ、やべえ」と言ってスタジオへ降りていく。

 いつも30年物のアルビレックスのムートンの革ジャンを着ていて、破れたところはガムテープで貼ってあってね。この時期はブーツを履いてカツカツいっている、金髪の男性なんですけど。

 その日の反省会では「俺今日なんも言えねぇ」って、自分のこと反省していて(笑)。

クリコ:あ、何か結構魅力を感じるかも。

駒村:今のお話ですごく思い描いたのはその人でした(笑)。その人も木の葉じゃないけれども、自転車置き場に横たわっていて、家族にLINEして「迎えに来て」と言っても、娘は既読スルーだし、奥さんからは「始発で帰ってきて」と言われるし。

 その上娘から「その革ジャン着てるうちは外で会わない」って言われて、あんなに大事に着てたのに燃えるゴミとして処分したり。

ただの酔っ払い、でも仕事の場ではバリっと!

クリコ:かわいそう。

いや、普通そうですよ。

駒村:だから、クリコさんが後輩に送り届けてってお願いする宅配便方式って、何て優しいんだろうと思うんですよね。。

いやいや、だからそのご家族が普通だと思いますよ。

クリコ:アキオももういい年でしたから、会社でも指示を出す立場になるじゃないですか。酔っ払って帰ってくる姿を見る度に、仕事ちゃんとしているのかな、大丈夫かなとすごく不安でしたけれど、会社の方に聞くと「えっ、家ではそんなだったんですか。会社ではすごく怖いけど、頼りにされてた上司でしたよ」と驚かれて。あ、比較的ちゃんとしてたんだ、と。

駒村さんの仲良しのおっさんたちも、仕事をやらせりゃちゃんとしているわけでしょう。

駒村:すごくできる人なんですよ。緊急の、突発ニュースが入ってきたときに、「よし、あとは任せてくれ」と言って出てきて「絵切り(数台のカメラの撮る画から放送する画を選択)」するんですけど、放送しながら「次、この絵でスタンバイして……その次これいけるか?……はい、いくよ!」って、今やれることを瞬時に把握して絵を先行させて頭の中で いわば脚本を作りながら指示する。バッタバタの状況なのにいつもと変わらない口調で、的確で、こんな言い方もなんなのですが、すごく美しいんですよ、出てくる絵も指示する姿も。

クリコ:かっこいい。

駒村:かっこいい。あの酔っ払って床で寝ていた人が(笑)。「おっさん、おっさん」と言われていたあの人が、と。

いざとなると、めちゃ頼りになると。

駒村:そうそう。すごいんですよ。みんなから尊敬されているし、下の人たちもちゃんと教育してくれる。「今日、ここの画切りがこいつはすごくよかったから、後でみんなで見よう。見たい人おいで」と言って集めて、ちゃんと講座を開いたりもする。すごくいい人なんですよね。