「この程度の身長・体重なら、この程度のボールを投げられる」

2017年8月31日には、「プロジェクトコンパス(Project CONPASS)」と呼ぶ、新たな取り組みをスタートさせると発表しました。狙いは何でしょうか。

金沢:当社の強みである試合のデータの活用を強化するなかで、これまでど真ん中でやっていなかったスポーツの「隣接領域」に広げる取り組みを始めています。その一つとして、スポーツにおけるコンディショニングとパフォーマンスの相関関係を分析し、その結果をスポーツ団体や競技者などに提供するのがこのプロジェクトです。身長や体重、食事といった基礎データや栄養面のデータに強いCLIMB Factory(クライム・ファクトリー)との共同プロジェクトです。

 例えば、「この程度の身長・体重の人だったら、理論上、この程度のボールを投げられる」という相関があるはずです。そのような分析をきちんとやっていきます。CLIMB Factoryはコンディショニングに関するデータや知見は持っていますが、スポーツのパフォーマンスは専門領域ではありません。逆に当社はコンディショニングについて詳しくありません。だから、両社が協力していくことに意味があります。各チームのトレーナーや選手などと話しながらやっていきます。

 このプロジェクトでは、我々が持つパフォーマンスに関するデータと付き合わせて分析していくために、トレーナーの領域で取得しておくべきデータセットを明確にすることも重要になります。それを各チームのトレーナーが単独でやる場合もあるでしょうが、リーグや協会といった大きな枠で取り組んだ方がいいことが数多くある。だから、選手とひも付いた大きなデータベースの構築を仕掛けたいと思います。仮にそれが標準になれば、プロ野球など競技を限定したものでなく、広くビジネスを展開できる可能性があります。ただ、我々にとってはあくまで隣接領域なので、現時点でどこまでやるかは決まっていません。

近未来にはAIが「次はカーブを投げましょう」と提案?

さまざまな産業でAIの活用が注目を集めていますが、スポーツにおけるAI活用の可能性をどう見ていますか。

金沢:現状では映像などからデータを取得する部分について、ディープラーニング(深層学習)などを使って自動化するための技術開発が進んでいます。これは「アナリストの支援」という見地から有効だと思います。

 例えばAutomagi(オートマギ)という企業は、ディープラーニングを使って、サッカーの「パスか」「パスでないか」という“意味”を自動で判別できるシステムを開発しています。これが実用化されれば、今、我々が手作業で取っているデータも自動で取得できます。そうなれば現在のJ1、J2、J3だけでなく、JFLやフットサルでも“意味”のあるデータを取得できるようになる可能性があります。

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