こうしたトラッキングツールが登場すると、多くの人がそれを使って自分のパフォーマンスを改善したいと考えるようになります。ところが、今は過渡期で、データだけが提示されても「何がいいのか」「だから何なのか」が分からないという問題があります。つまり、「何が本当に大事か」について、コーチなどの指導者がリテラシーを身につけていく必要があります。スポーツリーグや開発企業が、それをどう啓蒙していくかにも興味を持っています。
「世界卓球選手権」で採用されたトラッキングシステム
データスタジアムは、試合の映像から手動でデータを取得することに強みを持っていますが、自らトラッキングシステムの開発にも乗り出しています。
金沢:2017年4月に大阪大学発の研究開発型ベンチャーのQoncept(コンセプト)と、スポーツICT(情報通信技術)に関する共同研究機関「Ath-Tech Lab(アステック・ラボ)」を設立しました。データスタジアムが有するスポーツ現場に関する知見と、コンセプトが持つ画像処理などの技術を融合させて、スポーツICT分野の先端技術を開発し、スポーツの価値を高めていくのが目標です。
その第1弾の取り組みが、画像解析による卓球のトラッキングシステムです。これが国際卓球連盟(ITTF)に認められ、2017年5月29日から6月5日までドイツ・デュッセルドルフで開催された世界卓球選手権で採用されました。このシステムが取得したデータは、国際映像でも放映されました。
卓球のトラッキングシステムは、2017年6月にスヴェンソンスポーツマーケティングが東京・渋谷にオープンした卓球複合施設「T4 TOKYO」にも導入されました。また、T4 TOKYO内に設置された、アカツキという企業が開発した卓球ゲームにもこのトラッキングシステムが採用されています。卓球台にプロジェクションマッピングでブロックを投影し、ブロック崩しで得点を競うゲームです。
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