前回から読む)

 近年、選手やボールの動きを追尾するトラッキングシステムが急速に普及している。その波はプロなどのトップアスリートから一般のアマチュアへ広がろうとしている。その先にはどんな未来が待っているのか、そしてスポーツ界における人工知能(AI)の活用の可能性はどうなのか。データスタジアム ベースボール事業部 アナリストの金沢慧氏に聞いた(前編はこちら)。

(聞き手は日経テクノロジーオンライン 内田 泰)

2017年6月、ドイツで開催された世界卓球選手権の混合ダブルスで金メダルを獲得した吉村真晴・石川佳純組。データスタジアムとQoncept(コンセプト)の共同研究機関が開発した「卓球トラッキングシステム」がこの大会に採用され、取得データが国際映像に使用された。(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

データ取得ツールが小型化・低価格化

スポーツにおけるデータ活用という観点で、今後はどのようなことに注目していますか。

データスタジアム ベースボール事業部 アナリストの金沢慧氏

金沢:2017年から2018年にかけての動きとして注目しているのが「データの民主化」、つまりスポーツアナリティクスの一般化です。背景にあるのが、データを取得するトラッキングツールの小型化や低価格化です。

 例えば米Rapsodo社が開発した、レーダーとカメラを使ったトラッキングツール。アマチュアやユースの野球選手に向けた製品で、ブルペンで投げたボールの球速や回転数、回転軸、垂直・水平方向の変化量といったデータをiPadなどでチェックできます。これで価格は数十万円と、これまでのシステムと比較するとかなり安価です。

 ミズノも2018年春に、ボールの速度や回転数、回転軸を計測できるセンサー内蔵の硬式野球ボール「MAQ(マキュー)」を発売する予定です。このように、プロでなくても一般のプレーヤーが手軽にデータを取得できるようになってきました。

「MAQ(マキュー)」を紹介するページ。専用センサーを内蔵したボール(MAQ)を投げることで、投げたボールの回転数や、回転軸、速度などを計測し、分析できる。(画像:ミズノのホームページから引用)