(写真:加藤 康)

 世の中の感覚からすると東京のような大都市の方がスマホを使っていそうだから、大都市の方がスマホチケットを使うだろうという見方も分かります。でも、私の仮説は逆で、スマホチケットは地方から広がっていくと予想していました。なぜかといえば、地方の方がコアなファンの比率が高いからです。地方で人気のチームを応援するファンの方がチームやリーグの直販サイトでチケットを購入する可能性が高く、スマホチケットを使う比率が高いだろうと予想していました。でも、実際は違っていました。

 正直なところ、当初は根気強く数年かけてスマホチケットを普及させようと思っていたんですね。でも、予想よりも早かった。やはり昨シーズンの開幕戦が大きかったんだと思っています。開幕戦をテレビやネット配信、ソーシャルメディアで楽しみながら、そのままBリーグのアプリをスマホでダウンロードしてくれた人は相当いたはずです。開幕戦の時には、ヤフーの検索キーワードランキング上位のほとんどをバスケ関連が占めました。多くの人がテレビを見ながら、リアルタイムに検索したのでしょうね。

スマホでスポーツ中継を見る人が数百万人というのはすごい数字ですね、次世代の視聴モデルの入り口というか…。

葦原:ええ。すごいことだと思います。ソフトバンクさん、そしてスポナビライブさんには本当に感謝しております。どういう人がテレビを見て、どういう人がスマホで見ているのか。きちんと分析しなければと思っております。

逆に、昨シーズンを通して見つかった課題は。

葦原:大きいところでは、入場者数が前シーズン比で1.5倍とはいっても、もっと増えないといけないですよね。1試合平均で3000人弱というと、野球やサッカーよりは全然小さいですから。そこが大きな課題の1つです。

入場者数は、どのくらいを初年度のターゲットにしていたのでしょうか。

葦原:年間170万人を目標にしていました。その意味では目標をクリアしたことになります。開幕効果で当初は増えると思ってはいましたが、シーズンを通して予想以上に伸びました。

 ただ、正直なところ、B1でもすごく伸びたチームもあれば、前シーズンとあまり変わらないチームもあります。入場者数が伸びていない苦しいチームをどのようにサポートしていくかについては、今後の課題です。

 チームの経営課題、マーケティングの課題をリーグ側から明確に提示することが重要になってくると思います。「これをやったら、絶対に成功します」という万能薬はありません。やはり個別に課題があるんです。例えば、販売促進策が弱いことが課題なのか、もしくは、そもそもファンの会員数が少ないことが課題なのか、チームやリーグが認知されていないのが問題なのか。それぞれの課題によって打ち手が変わると思っています。

 野球やサッカーではあまりやっていないと思いますが、Bリーグではチームごとの数字を個別に分析して、「あなたのチームは今、ここが問題だと思います。だから、こういう打ち手を考えましょう」ということを提示しています。その取り組みをさらに洗練していかなければなりません。