
女子の床運動で村上茉愛選手が日本人として初の金メダル。“ひねり王子”の愛称で親しまれる白井健三選手が男子の跳馬と床で金メダル、個人総合で銅メダル──。日本選手の活躍で幕を閉じた、カナダで開催された「第47回世界体操競技選手権大会」(2017年10月2日~8日)。その舞台裏では、富士通が開発を進めている「採点支援システム」の実用化を目的として、国際大会の競技会で初めて自動採点のためのデータを取得していた。
富士通は、体操や新体操などの競技を統括する国際体操連盟(FIG)と、体操競技における審判の採点支援システムの実用化に共同で取り組むことで合意している。今回のデータ取得は、その合意を受けたものだ。
体操競技では白井選手のひねりに代表されるように技の高度化が進んでおり、もはやトップクラスの審判といえども肉眼で常に正確な判定を下すのが難しい状況に直面している。そこで採点支援システムを導入することで、公平・正確な判定を実現するのがFIGと富士通の目標である。
実はこの採点支援システムは、体操競技、いや、すべての採点型競技にとって“革命”とも言える技術だ。
選手に対し、1秒間に230万点のパルス状レーザー光を発射
富士通が開発を進めているのは、富士通研究所がもともと自動車向けに開発を進めていた「3Dレーザーセンサー」と、リハビリ向けに開発していた骨格認識ソフトを融合させた技術。具体的には、選手に向かって1秒間に230万点という細かいパルス状のレーザー光を発射し、反射光を検出して対象までの距離を算出。そこから骨格の位置を推定して手足の位置や関節の曲がり具合などを導き出し、体操競技の動きをデータベース化した「技の辞書」と照合して採点するシステムである。
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