生成した自由視点映像は、スマートフォンやタブレット上でユーザーが好みの視点で楽しんだり、VR(仮想現実)対応HMD(ヘッドマウントディスプレー)で臨場感や没入感を味わったりできる。さらに、通常の2D映像にはない3Dの情報を持つため、チームの強化や戦術分析などに役立てられるという。

40秒映像の制作に1日

 キヤノンが自由視点映像生成システムの対象としている競技はサッカーとラグビー。これまでにJリーグの協力によってサッカーで4回、そしてラグビーは先日のオーストラリア戦を含めて2回実験している。

自由視点映像を編集しているところ(写真:キヤノン)

 「サッカーの場合はハイライトシーンはゴールに近い部分で起きる。これに対してラグビーはフィールドのより広範囲な部分で起きる」(キヤノン デジタルシステム開発本部上席の伊達厚氏)。設置するカメラの台数や場所、カメラの向きなどにノウハウがあるという。課題は、映像編集時間の短縮。現状では、40秒の映像を作成するのに約1日かかる。

インテルはイスラエル社買収で技術取得

 実は、類似のシステムは米インテル社やKDDI総合研究所、富士通なども開発している。いずれも基本的な仕組みはキヤノンと同様だが、短時間に映像を制作して試合の放送時にリプレーで紹介したりする点に違いがある。

球場に設置された「FreeD」撮影用のカメラ(写真:インテル社)

 インテル社は2016年3月に自由視点映像技術を持つイスラエルのReplay Technologies社を買収。同社が開発した「FreeD」と呼ばれている技術を、米プロアメリカンフットボールNFLの優勝決定戦「スーパーボウル」や、米プロバスケットボールNBAのプレーオフなどに導入したりしている。

 NBAのプレーオフでは、アリーナ内の周囲に設置した28台の4Kカメラで撮影した大容量のデータを、インテル社のプロセッサーを搭載した高性能なサーバーで処理した。選手のダンクシュートなどのハイライトシーンを試合の放送中に360度視点で見せた。