新産業創出に本気

 横浜DeNAベイスターズは2017年1月、ベイスターズを始めとするDeNAグループが有するスポーツリソースを中心に、横浜市や外部のパートナー企業とともに街づくりや産業創出を推進する「横浜スポーツタウン構想」を発表している。3月18日にはその中核施設となる「THE BAYS(ザ・ベイス)」を開設した。THE BAYSが目指すのは、「スポーツ×クリエーティブ」をテーマに、新産業を創出すること。シェアオフィスの「CREATIVE SPORTS LAB」では、会員の企業やクリエーターがオープンイノベーションを通じて商品開発などを行っている。

横浜スポーツタウン構想の中核施設「THE BAYS(ザ・ベイス)」。市の指定有形文化財に指定されている「旧関東財務局」の内部を改装して使用している

 その第一弾として、超人スポーツ協会との共催によって「『超☆野球』開発プロジェクト」を実施した。これは最新のテクノロジーを用いて身体・道具・フィールドなどを拡張し、新しい野球の可能性の創造を目指して開発をハッカソン形式で行う取り組み。約35名のクリエイターが参加し、10月1日には横浜スタジアムで作品の発表会を開いた。

 このように既存のプロ野球団の枠を超えた新しい取り組みを次々に繰り出しているベイスターズだが、今回のスポーツアクセラレータは、スポーツ産業におけるエコシステムの構築に不可欠な外部パートナーとの連携を強化するものである。それは、いつの時代も新しい産業を生み出すのは、既成概念に縛られずに新サービスを繰り出すベンチャー企業であるからだ。

 そこで優れたアイデアを持つベンチャー企業に、ベイスターズが資金を含む自社のアセットを供与。「横浜市民、ファン、スポンサー企業などに対してこれまでにないスポーツ体験を提供するとともに、横浜市の地域経済活性化に貢献したい」(岡村氏)。

対象事業分野は6つ

 ベイスターズ スポーツアクセラレータの対象事業分野は6つある。1.新しい観戦体験、2.ファン層の拡大と満足度向上、3.スポンサー企業への提供価値向上、4.物販・飲食の新サービス、5.スポーツパフォーマンスの向上、6.新たなスポーツ分野(eスポーツ、VR利用スポーツなど)──である。

「BAYSTARS Sports Accelerator(ベイスターズ スポーツアクセラレータ)」の6つの対象事業分野

 ベイスターズはパートナーとなるベンチャー企業に対し、選手のパフォーマンスなど各種のデータ(個人情報は匿名化)や、外部企業とのネットワーク、コワーキングスペース、資金調達の機会などを提供する。「開発したサービスなどを、横浜スタジアムで主催する71試合の興業で実証実験することも考えている」(岡村氏)。

 実はベイスターズほど、周辺地域を巻き込んだベンチャー育成事業を展開する環境に恵まれているプロスポーツチームはそうない。人口370万の横浜市を基盤とし、同市とスポーツ振興や地域経済活性化を目的とした包括連携協定を結んでいる。そしてチームは日本シリーズに進出するほど強化が進み、スタジアムは市内の中心部に位置する。ベイスターズ スポーツアクセラレータは、こうした新しい取り組みが国内でも成功するかどうかの試金石となるのは間違いない。

スポーツイノベイターズ オンライン 2017年11月17日付の記事を転載]