(写真=ロイター/アフロ)

 1973年私が初めて大蔵省(現財務省)で課長になった時、3人の課長補佐がいた。その中の1人に現日本銀行総裁の黒田東彦氏がいた。あの頃の大蔵省はよくもこんなに優秀な人材が集まったなと思うほどの俊秀揃いだったが、なかでも黒田氏の頭の良さは異様だった。こんなに頭が良いと他人がばかに見えて困るんじゃないかと思ったものだ。私は今でもそのことを心配している。

 だが、彼の場合有り難いのは、その冷徹な頭脳がとても温かい心と同居していることだ。彼は微笑みの多い人である。今年の初め頃、彼をインタービューした米国の新聞が、「ミスター・黒田は伝染性(インフェクシャス)な笑顔を持っている」と書いていた。外国人も彼の笑顔の中に日本経済の将来への希望を見い出したということだろう。デフレを本当に脱却できるか日本は正念場にある。黒田氏の微笑みは国民に自信を持てと促している。