(写真=神藤剛)

 テントをデザインしてくれませんか──。山井さんからそう相談されたのが2013年の頃。アウトドアブランドであるスノーピークにとっては旗艦製品とも言えるもの。どんな大きな建物でも、どんなに遠い海外での案件にもあまり驚かなくなっている僕だが、テントときたか、と内心ほくそ笑んだ。そんなこと頼まれたことがない。だからこそ、おもしろそうだな、と。テントをデザインすれば自身の建築においても新しい方向を見つけられる、とワクワクしたのを覚えている。

 そんなことを頼んでくる会社の経営者はどんな人なのだろうと直接新潟県三条市の本社にお伺いした。初めて会う山井さんは、見るからに屋外に生きる男そのもの。風にさらされているような肌、無駄な自慢はしない木訥とした雰囲気。一代目を尊敬し、そのベースを踏襲しながらも、アウトドア業界に新風をもたらした男にふさわしい雰囲気をかもし出していた。

 そこでは、クラフトマンシップを感じさせるオリジナルのたき火台が年間2万個以上生産されているという。そのほかの自社製品もすべて三条市内の工場で賄う。日本でも有数の金属加工品産地。場所と企業の精神がしっかりつながっている説得力を感じた。

 山井さんは、今はアウトドア業界の人。でも近い将来、建築やリゾート業界をもあっと言わせる人材になっている日が僕には見える。