(写真=ロイター/アフロ)

 アウンサンスーチーは、マンデラ、ハーヴェルと並び立つ、不屈の闘士である。孤高の一学究から突如大衆の中に放り込まれた彼女は、その中で生き続けるチエを、「私は政治家である」との一言で表している。「政治家」である限り、自己の信念とギリギリ抵触しない限り、妥協も強いられる。その限界を踏み越えたかに見えたこともあった。レパダイン銅鉱山での住民との紛争でのさばき方である。ロヒンギャ問題では、自身ビルマ族である限界からか、この少数民族の人権に十分理解を示したか、疑問も残る。しかし15年にわたる過酷な自宅軟禁の中で鍛え抜かれた人間尊重の強い信念に揺らぎはない。民衆のアイコンは生き続けている。このアイコンが青ざめ、ありきたりの人間として道端に立ち尽くすならば、ミャンマーの悲劇である。ともあれ、志半ばの30歳代で非業の死を遂げた父アウンサン将軍のやり残したあまりにも多くの仕事が、彼女を待ち続けている。